セッション情報 | ポスターセッション(消化器外科学会)その他-症例 4 |
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タイトル | 外P-736:DIC治療と術後の血栓予防にリコモジュリンを投与した脾動脈瘤破裂の1例 |
演者 | 祐川 健太(富山大・消化器・腫瘍・総合外科) |
共同演者 | 松井 恒志(富山大・消化器・腫瘍・総合外科), 三輪 武史(富山大・消化器・腫瘍・総合外科), 森山 亮仁(富山大・消化器・腫瘍・総合外科), 大村 哲也(富山大・消化器・腫瘍・総合外科), 関根 慎一(富山大・消化器・腫瘍・総合外科), 橋本 伊佐也(富山大・消化器・腫瘍・総合外科), 渋谷 和人(富山大・消化器・腫瘍・総合外科), 北條 荘三(富山大・消化器・腫瘍・総合外科), 渡邊 智子(富山大・消化器・腫瘍・総合外科), 吉岡 伊作(富山大・消化器・腫瘍・総合外科), 澤田 成朗(富山大・消化器・腫瘍・総合外科), 奥村 知之(富山大・消化器・腫瘍・総合外科), 吉田 徹(富山大・消化器・腫瘍・総合外科), 長田 拓哉(富山大・消化器・腫瘍・総合外科), 塚田 一博(富山大・消化器・腫瘍・総合外科) |
抄録 | 【症例】60歳代,男性.朝からの腹痛を主訴に紹介医を受診.腹部CT検査にて脾動脈瘤と腹腔内出血を指摘され,同瘤の破裂と診断され当院へ搬送となった.来院時の採血でHb3.5g/dLと著明な貧血を認め,IVRによる止血を施行,コイルは不安定ではあるものの造影剤の流出はなく応急止血が可能であった.術中にMAP6単位を輸血し,Hbは6.3g/dLと改善したものの,血小板が10.3万/μLから5.8万/μLと減少し凝固系は延長,急性期DICスコアが4点となったためリコモジュリンを投与開始した.翌朝,循環動態が改善しており,根治術として脾動脈瘤摘出術+脾臓摘出術を施行.リコモジュリン投与中ではあったが術中に明らかな出血傾向は認めなかった.第3病日から脾摘後の血小板増多に対してヘパリンを開始し,リコモジュリンと併用した.膵液瘻は認めたものの保存的に軽快し,第59病日に退院となった.【考察】外傷性のDICは早期には二次線溶が活性化し線溶が優位となり出血傾向がみられる.これとは反対に後期は線溶抑制物質が産生され,持続的な凝固亢進と線溶抑制から多臓器不全を呈する.今回,IVRによる応急止血後からリコモジュリンの投与を開始したが,線溶亢進期に行った手術時に明らかな出血傾向はなかった.また,線溶抑制期にはリコモジュリンとヘパリンを併用することによって血栓形成の予防が可能であったと考えられた.線溶亢進期および抑制期でのリコモジュリンの有効性について若干の文献的考察を加えて報告する. |
索引用語 | DIC, リコモジュリン |