セッション情報 ポスターセッション(消化器外科学会)

その他-症例 5

タイトル 外P-739:

巨大骨盤内腫瘍を形成した悪性腹膜中皮腫の1切除例

演者 金子 哲也(光生会病院・外科)
共同演者 池田 匡弘(光生会病院・外科), 渡邊 浩(国立長寿医療研究センター)
抄録 【背景】悪性腹膜中皮腫の術前診断は困難である.約90%が発見時に腹水貯留を認め過進行状態で発見され切除に至る症例は少なく予後は極めて不良である.今回,骨盤内に巨大な腫瘍を形成した悪性腹膜中皮腫の切除例を経験したので報告する.【症例】51歳,男性【主訴】下腹部腫瘤【既往歴】アスベスト暴露暦なし.【現病歴】平成24年6月に検診にて腹部腫瘍,腹水貯留を指摘されたが放置.同年11月下旬になり腹痛,腰痛が強くなり受診.【現症】下腹部に可動性の少ない固い小児頭大に腫瘤を触知.【血液検査】Hg 9.5g/dl,と貧血を認めた.CEA,CA19-9など腫瘍マーカーは正常値.【CT所見】造影早期相から増強され内部に造影不良域が散見される下腹部から骨盤内を占拠する16cm x 12cm x 12cmの巨大分葉状腫瘤を認めた.直腸Rs,膀胱,前立腺に接しており浸潤が疑われた.脱分化型脂肪肉腫,平滑筋肉腫,MFHなどが疑われた.【手術所見】同年12月手術施行.小児頭大の腫瘍が骨盤腔にimpact.仙骨への直接浸潤は認めず切除可能と判断.回腸浸潤部を切除.左右で結腸を受動. S状結腸切離し仙骨前面より可級的に剥離.左右内腸骨動脈を結紮.腹側より膀胱浸潤部を切離し直腸前壁に達する.腹膜飜転部肛門側で直腸切断し腫瘍を摘出.S状結腸と直腸を吻合し手術終了.術後経過は順調で術後31日退院.【病理組織所見】類円形の核を有する細胞の上皮様,索状,蜂巣状の増殖を示し小腸,大腸,膀胱へ筋層に達する浸潤を認めた.免疫染色にてVimentin, CAM5.2,Calretin,D2-40に強陽性,CEA, CD34, C-kit inhibin-alpha陰性.以上より悪性中皮腫, biphasic typeと診断.【経過】術後3か月で腹腔内再発をきたし,現在CDDP+MTAによる化学療法を施行中.【考察】悪性中皮腫は1983年以降125症例の報告がある.切除例は5例と少ない.術後早期に再発する例が大半でMSTは12か月と報告されている.CDDPを中心とした化学療法が主流であるが奏功率が30%を超えるものは少ない.
索引用語 悪性腹膜中皮腫, 手術