セッション情報 ポスターセッション(消化器外科学会)

その他-症例 5

タイトル 外P-740:

後腹膜に発生した悪性中胚葉性混合腫瘍(MMMT)と考えられた1症例

演者 北條 暁久(日本大・消化器外科)
共同演者 高山 忠利(日本大・消化器外科), 蛯澤 記代子(日本大・消化器外科), 山崎 慎太郎(日本大・消化器外科), 山岸 俊介(日本大・消化器外科), 黒川 友晴(日本大・消化器外科), 青木 優(日本大・消化器外科), 東風 貢(日本大・消化器外科)
抄録 はじめに)後腹膜原発の悪性中胚葉性混合腫瘍(MMMT)は後腹膜に存在する二次性のミュラー管細胞より発生すると考えられている悪性腫瘍であり非常にまれで悪性度の高い疾患である.これまで数例が報告されているのみである.症例)59歳女性両下肢の痙攣を主訴に受診.全身スクリーニングとして腹部CTを施行したところ後腹膜に石灰化を伴う53mmの腫瘍を認めた.PETではFDG集積を伴わず辺縁有意に石灰化を伴う分葉状腫瘤と高度なFDG集積(SUV Max=10.47)を示す軟部濃度領域の2つの成分よりなる腫瘍を腎動脈分岐下の大動脈前面に認めた.経過観察中,75日で腫瘍は80mm(doubling time: 42日)へと腫瘍の急速な増大を認めたため,悪性度の高い後腹膜腫瘍と診断し摘出術を施行した.腫瘍は腹部大動脈の左側前面に強固に癒着しており下腸間膜動脈は腫瘍内部を貫通するように走行し,浸潤が疑われたため切除した.子宮,卵巣その他の臓器に異常所見は認めなかった.病理診断では軟骨,骨などの非上皮性成分とレース状の上皮成分が混在した腫瘍であり,軟骨組織を示す部分はGrade1-2の軟骨肉腫と考えられ,上皮成分も異型が強く,リンパ節転移もあり両成分共に悪性腫瘍と診断された.免疫染色ではestrogen receptorとprogesterone receptorは陰性なもののCD10が陽性でありMMMTと考えられた.考察)後腹膜に発生するMMMTは癌腫様の部分と肉腫様の部分の2相性の構造をもつことが特徴とされている.一般的な生殖器外のMMMTは予後不良という報告が多く,術後の平均生存期間は14ヶ月と言われている.治療は外科手術を基本とし,化学療法,放射線療法が行われる場合もある.再発形式は局所再発例が多いため確実な外科切除が望まれる.結語)CTにて2相性の後腹膜腫瘍を認めた場合は,MMMTを考え切除を検討すべきである.
索引用語 MMMT, 二相性腫瘍