セッション情報 ポスターセッション(消化器外科学会)

その他-症例 5

タイトル 外P-741:

胃癌術後4年目に発症した孤立性骨盤内扁平上皮癌の1例

演者 繁光 薫(川崎医大・総合外科学)
共同演者 平林 葉子(川崎医大・総合外科学), 高岡 宗徳(川崎医大・総合外科学), 林 次郎(川崎医大・総合外科学), 吉田 和弘(川崎医大・総合外科学), 浦上 淳(川崎医大・総合外科学), 羽井佐 実(川崎医大・総合外科学), 猶本 良夫(川崎医大・総合外科学), 物部 泰昌(川崎医大川崎病院・病理部)
抄録 骨盤内に発生する悪性腫瘍としては,直腸や子宮・付属器・膣,膀胱に由来するもの,あるいは他部位癌の転移性腫瘍が挙げられる.私達は,胃癌術後4年目に骨盤内傍直腸組織に発生した扁平上皮癌に対し,放射線化学療法ならびに経仙骨的切除を行い,良好な経過を得ているので報告する.症例は,57歳,女性.52歳時胃癌術後4年目に貧血症状で当院受診,直腸診にて直腸左壁外に雀卵大の腫瘤を触知した.腹部CTにて直腸Raレベル左側に接する壁外に,辺縁部が造影される3.7×3.7cm大の腫瘤を認め,CTガイド下生検にて扁平上皮癌が検出された.骨盤内原発の扁平上皮癌として放射線照射(計40Gy)ならびに化学療法(MMC+5-FU)を施行し,腫瘍の縮小を認め,経仙骨的傍直腸腫瘍摘出術を施行した.直腸左壁に固着する鶏卵大の腫瘤を認め,浸潤部直腸外膜・筋層を含めて腫瘍を摘出した.病理組織検査では,骨盤組織内に微小ながらViableな扁平上皮癌が残存していた.放射線療法の病理組織学的判定基準ではGrade2であった.術後経過良好で軽快退院し,術後2年8か月現在再発徴候を認めていない.骨盤内に発生する扁平上皮癌は膣由来が多いが,本症例でも生検組織からは生殖器由来の扁平上皮癌が疑われた.しかし発症から現在まで生殖器精査にて悪性所見を認めておらず,孤立性扁平上皮癌と判断せざるを得ない.このような骨盤内傍直腸腫瘍に対し,経仙骨的腫瘍摘出術は,比較的低侵襲で肛門機能を温存することができ,有用な手術術式と考えられる.
索引用語 扁平上皮癌, 経仙骨的切除