セッション情報 ポスターセッション(消化器外科学会)

その他-症例 5

タイトル 外P-742:

巨大副腎皮質癌の1例

演者 藤森 芳郎(北信総合病院)
共同演者 梅咲 徹也(北信総合病院), 篠原 剛(北信総合病院), 山田 博之(北信総合病院), 山岸 喜代文(北信総合病院)
抄録 【症例】65歳,男性.2011年3月に胃腸炎にて近医を受診した際に右上腹部に小児頭大の腫瘤を指摘され,当院紹介となった.正中から右腹部に巨大な弾性硬の腫瘤を触知した.両下腿は浮腫が著明であった.血液検査では,低タンパク,低アルブミン血症を認めたが,腫瘍マーカー(CA19-9,CEA,AFP,PIVKA-2)は正常であった.腹部超音波検査では多胞性巨大肝腫瘤を認めた.CT検査では肝右葉全体を占める20cm以上の腫瘤を認め,不均一な造影効果を認めた.MRI検査では20×26cm大の腫瘤で,内部intensityは不均一で,造影にて不均一に造影された.壊死性変化や出血が疑われた.腹部血管造影検査では腫瘤はhypervascularで,門脈は本幹で閉塞を認めた.側副路を介して門脈左枝が描出された.下大静脈は圧排,狭小化を認めた.FDG-PETでは腫瘤に一致して糖代謝の亢進(SUV Max:19.9)が認められた.以上より肝細胞癌や肉腫系悪性腫瘍が疑われた.一方大腸内視鏡検査にて直腸RSに6×3cm大の1型,高分化管状腺癌の合併を認めた.2011年5月に開腹術を行った.腫瘤は後腹膜・肝後区域に存在し大腸,十二指腸を腹尾側に圧排するように存在した.前方アプローチにて肝右葉切除術を行った.門脈,下大静脈に浸潤はなく剥離温存可能であった.術中出血量7000g,切除重量3.81kgであった.術後経過は順調で第11病日退院となった.病理診断では副腎皮質癌の肝臓への浸潤と判断された.なお直腸癌は2期的に腹腔鏡補助下高位前方切除術が7月に行われた.2012年5月には右腎周囲・残肝に再発が確認された.2012年7月より神経内分泌腫瘍に準じてCPT-11/CDDP療法を3クール施行したがPDであった.2012年11月よりミトタン内服治療に変更したが更にPDとなり,2013年1月死亡された.比較的稀な巨大副腎皮質癌の1治療例を経験したので文献的考察を加えて報告する.
索引用語 副腎皮質癌, 外科切除