共同演者 |
清水 泰博(愛知県がんセンター中央病院・消化器外科), 千田 嘉毅(愛知県がんセンター中央病院・消化器外科), 植村 則久(愛知県がんセンター中央病院・消化器外科), 木下 敬史(愛知県がんセンター中央病院・消化器外科), 木村 賢哉(愛知県がんセンター中央病院・消化器外科), 伊藤 友一(愛知県がんセンター中央病院・消化器外科), 三澤 一成(愛知県がんセンター中央病院・消化器外科), 安部 哲也(愛知県がんセンター中央病院・消化器外科), 小森 康司(愛知県がんセンター中央病院・消化器外科), 伊藤 誠二(愛知県がんセンター中央病院・消化器外科), 木下 平(愛知県がんセンター中央病院・消化器外科), 二村 雄次(愛知県がんセンター中央病院・消化器外科) |
抄録 |
【目的】希な腫瘍であるIVC原発平滑筋肉腫の1切除例を報告する.【症例】37歳, 女性. 2012年10月右季肋部痛の増悪と嘔吐で前医を受診. 腹部腫瘤を指摘された. CTで左右腎静脈合流部の頭側に8cm大の八頭状の不整形腫瘤を認めた. 腫瘤は辺縁を中心に早期濃染し, 後期相では比較的均一な淡い濃染像を呈した. 腫瘍の中心部ではIVCが不明, 尾状葉・右副腎との境界は不明であった. FDG-PETでは腫瘍部以外の異常集積は認めず. 血液生化学検査, 副腎機能, 各種腫瘍マーカーに異常所見を認めず. 経皮腫瘍生検の結果は紡錘形細胞が錯綜構造を形成して増殖しており, 免疫染色でACTIN+, DESMIN+, CALDESMON+, DOG1-, MITF-, HMB45-, CD31-, PgR+, Ki67陽性率は20-30%. IVC原発平滑筋肉腫と診断した. Adriamycin+Ifosfamideによる化学療法2コース施行後, SDの判定で当科紹介. IVC造影では左右腎静脈合流部より肝側のIVC内腔は造影されず, 腰静脈等を介し奇静脈への側副血行が発達. 腫瘍と尾状葉の境界が不明で門脈右枝塞栓後右肝切除を併施とした.【結果】2013年2月, 前方アプローチで肝を離断, 右副腎の一部を含め肝右葉・尾状葉切除, IVC環状切除を施行(手術時間487分, 出血量3520g). 腎静脈の合流部の直ぐ心臓側, 左右肝静脈合流部より腎臓側でIVCを遮断しても血行動態に変動なく, 側副血行路で循環が保たれると判断し血行再建は行わず, IVCは上下流側とも縫合閉鎖した. 術後経過は問題なく, 第14病日軽快退院. 術後1か月, 下半身に浮腫などの変化は認めていない. 病理組織診断は, 最大径9.2cmの平滑筋肉腫で, 核分裂像を多数認め(37/10HPFS), IVCの切除断端腫瘍陰性. IVC環状切除後の血行再建は, 側副路が発達している場合には必ずしも必要ない.【結語】IVC原発平滑筋肉腫に有効な化学療法は確率されておらず, 可能であれば外科的切除が第一選択であるが, IVCの再建に関しては個々の病態に応じた検討が必要. |