セッション情報 ポスターセッション(消化器外科学会)

その他-症例 6

タイトル 外P-745:

腹腔鏡補助下温熱化学療法を施行したのち腹膜切除にて完全切除し得た腹膜中皮腫の一例

演者 一瀬 真澄(草津総合病院・消化器外科)
共同演者 米村 豊(草津総合病院・癌局所療法・腹膜播種センター), 平野 正満(草津総合病院・消化器外科), 小座本 雄軌(草津総合病院・消化器外科), 戸川 剛(草津総合病院・消化器外科), 高尾 信行(草津総合病院・消化器外科), 水本 明良(草津総合病院・消化器外科)
抄録 腹膜中皮腫は,胸膜中皮腫と同じく治療困難な疾患として知られている.今回我々は腹膜中皮腫に対し,腹腔鏡補助下温熱化学療法を3回施行して腹水コントロールをしたのちに,腸管切除を含む腹膜切除にて腫瘍を完全切除し得た一例を経験したので報告する.症例は70歳代女性.主訴は右背部痛.前医を平成23年6月に右背部痛で受診.左上腹部の5cm大の腫瘍に対し上部消化管内視鏡下にFNAを施行,腹膜中皮腫と診断された.平成23年12月加療目的にて当院に紹介受診となる.同月に入院の上,CARTを行った後,腹腔鏡補助下温熱化学療法(LHIPEC)を行った.淡血性腹水が約5L,胃の頭側の5cm大の腫瘍や右横隔膜下に2cm大の腫瘍などPeritoneal Carcinomatosis Index(PCI) 18と診断.DOC40mgCDDP50mgを加えた42℃60分の温熱化学療法を行った.同様のLHIPECを平成24年1月と2月に合計3回行い,PCIは18 14 13と減少した.同年3月に腹膜切除,直腸切除,子宮全摘,両側付属器切除,大網小網切除,脾摘,胆摘,人工肛門増設(S状結腸),温熱化学療法(60分42℃MMC20mgDOC60mg)を行い,PCI 12 CC 0.腫瘍は完全切除された.病理所見は上皮型の悪性腹膜中皮腫だった.術後はやや食思不振が見られたが,術後53日目に退院し,外来フォロー中である.術後9カ月経過も画像上再発を認めていない.腹膜中皮腫は予後不良で胸膜中皮腫のように保険適応となる化学療法薬もなく,治療法は確立されていない.今回の症例は様々な癌腫で腹水コントロールに有用とされる温熱化学療法が奏功し,腹腔内に広がった病巣に対し腹膜切除にて完全切除し得たので,文献的考察を加え報告する.
索引用語 腹膜中皮腫, 温熱化学療法