セッション情報 ポスターセッション(消化器外科学会)

その他-症例 6

タイトル 外P-747:

小腸静脈瘤破裂の1例

演者 三宅 秀夫(名古屋第一赤十字病院・一般消化器外科)
共同演者 宮田 完志(名古屋第一赤十字病院・一般消化器外科), 湯浅 典博(名古屋第一赤十字病院・一般消化器外科), 竹内 英司(名古屋第一赤十字病院・一般消化器外科), 永井 英雅(名古屋第一赤十字病院・一般消化器外科), 服部 正興(名古屋第一赤十字病院・一般消化器外科), 井村 仁郎(名古屋第一赤十字病院・一般消化器外科), 河合 奈津子(名古屋第一赤十字病院・一般消化器外科), 川上 次郎(名古屋第一赤十字病院・一般消化器外科), 小林 智輝(名古屋第一赤十字病院・一般消化器外科), 浅井 宗一郎(名古屋第一赤十字病院・一般消化器外科), 工野 玲美(名古屋第一赤十字病院・一般消化器外科), 張 丹(名古屋第一赤十字病院・一般消化器外科), 岩瀬 まどか(名古屋第一赤十字病院・一般消化器外科), 山下 浩正(名古屋第一赤十字病院・一般消化器外科), 浅井 悠一(名古屋第一赤十字病院・一般消化器外科), 小林 陽一郎(名古屋第一赤十字病院・一般消化器外科)
抄録 【症例】2年前から当院耳鼻咽喉科にて下咽頭癌治療中の63歳男性,下咽頭癌は放射線化学療法で一旦CRとなったが,肺,縦隔リンパ節に再燃し,化学療法継続中であった.アルコール性肝硬変を合併しており,14年前より他院にてフォローをされていた.3年前に肝細胞癌に対して肝切除術が施行されており,両側肋弓下切開と上腹部正中切開の術創を認めた.1年半前に食道静脈瘤に対するEVLと十二指腸乳頭部腺腫に対してEMS留置が施行されている.2,3日前から腹痛があった後に下血が出現したため救急搬送された.来院時血圧は保たれており,意識も清明,ヘモグロビンは7.3g/dLであった.上部・下部内視鏡では,食道に静脈瘤(Li, F1, Cb, RC-)を認めたが,十二指腸までの上部消化管と大腸に出血源は認めなかった.内視鏡に先立って施行されたCTで,臍付近で小腸から腹壁に連続する静脈瘤とその領域に怒張した腸間膜静脈が描出されていたため,ここが出血減と考えられた.来院後,全身状態は落ち着いていたため,小腸内視鏡検査を予定し,いったん経過観察したが,鮮血の下血とともに血圧低下を来したため,緊急手術を施行した.臍の上下に約20cmの正中切開で開腹.腹壁には手術瘢痕のみならず広範囲に腸管が癒着していた.非瘢痕部に癒着した腸管壁(腸間膜対側)に静脈瘤が形成されており,怒張した腹壁静脈に連続していた.腹壁への側副路を静脈瘤ごと結紮切離したのち,瘤化した腸間膜静脈を結紮処理し手術を終了した.術後経過は良好で,術後12日に軽快退院された.退院後施行したCTで小腸壁の静脈瘤は消失しており,術後1年6ヶ月現在再燃兆候は認めていない.【まとめ】小腸静脈瘤は極めてまれな疾患であるが,癒着を介して腸管壁に新生血管が形成され,食道静脈瘤治療等での血流変化により側副血行路として発達したものと考えられた.
索引用語 小腸静脈瘤, 肝硬変