セッション情報 ポスターセッション(消化器がん検診学会)

胃2

タイトル 検P-5:

胃がんリスク評価を導入した職域胃がん検診の検討

演者 佐藤 友美(川崎医大川崎病院・健康管理センターDELIMITER川崎医大・健康管理学)
共同演者 鎌田 智有(川崎医大・消化管内科), 春間 賢(川崎医大・消化管内科)
抄録 【目的】職域における効果のある胃がん検診のために,Helicobacter Pylori(HP)感染,胃粘膜萎縮や除菌治療を考慮した検診システムを検討した.【方法】平成24年度,当院では職員定期胃がん検診前に同意が得られた35歳以上の236名に,胃がんリスク評価として血清ペプシノゲン値(PG)と血清HP抗体価を測定し,PG1≦70ng/mlかつPG1/2比≦3.0をPG陽性,HP≧10u/mlをHP陽性としてPG(-)HP(-)をA群,PG(-)HP(+)をB群,PG(+)HP(+)をC群,PG(+)HP(-)をD群,HP除菌後をE群,再燃をF群とし,C群,D群は内視鏡検査,その他はX線検査を実施した.胃X線像の読影は放射線診断専門医,がん検診認定医が各々で行い,背景粘膜の評価は胃小区の有無,皺壁の腫大・蛇行・分布範囲の縮小(萎縮)の程度,胃粘液の付着について胃X線診断に有効な指標やHP抗体価の基準値の妥当性を検証した.【成績】236例中胃がん発見率0%,胃X線検査は210人,内視鏡該当者26人であった.背景粘膜の評価により慢性胃炎46例,正常範囲以内は164例と診断され,慢性胃炎46例中37例(80.4%)はHP陽性,9例(19.6%)にHP陰性を認め,HP抗体価の基準値を検討した.ROC曲線にて基準値はHP≧5u/mlとなり,HP陽性をHP≧5u/mlないしHP≧10u/mlとした場合,ROC曲線よりHP感染診断における皺壁幅は両基準値とも4mmが最も有用となり,背景粘膜の評価は多変量解析より胃小区有り,皺壁幅4mm以上,萎縮ありは有意に関連性が認められた.またB群はX線診断上,全例慢性胃炎,内視鏡該当者のC群25症例50病変,D群1症例はHP感染胃炎と診断された.【結論】血清HP抗体価の基準値は,今後も検討の必要性があり,胃X線検査にて胃小区有り,皺壁幅4mm以上,萎縮を認めた場合は高率にHP感染胃炎と診断できる有効な指標と言える.本研究により当施設では,平成25年度より35歳以上の全職員対象に胃がんリスク評価を導入し,適切な診断や治療が受けられる医療体制の整備のためA群は胃X線検査,B群以上では内視鏡検査を実施する.
索引用語 職域胃がん検診, 胃がんリスク評価