セッション情報 ポスターセッション(消化器がん検診学会)

胃2

タイトル 検P-7:

現行血清H.pylori抗体法の問題点:尿中H.pylori抗体との比較での検討

演者 岡 政志(埼玉医大病院・消化器内科・肝臓内科)
共同演者 稲生 実枝(埼玉医大病院・消化器内科・肝臓内科), 菅原 通子(埼玉医大病院・消化器内科・肝臓内科), 中山 伸朗(埼玉医大病院・消化器内科・肝臓内科), 今井 幸紀(埼玉医大病院・消化器内科・肝臓内科), 持田 智(埼玉医大病院・消化器内科・肝臓内科)
抄録 【目的】血清H.pylori(Hp)抗体はペプシノゲン法と併用することで,胃癌のハイリスク群を慢性胃炎のABCD分類で囲い込むことが可能である.しかし,血清抗体のカットオフ値については,現感染をゴールデンスタンダードとして設定したため,陰性群に既感染者,現感染者が多く見られるようになった.A群は全くの未感染症例を対象とすることになっており,Hp抗体のカットオフ値に関しては,偽陰性を最小にするように設定することが求められる.そこで,血清Hp抗体価を尿中Hp抗体と比較することで,現行の血清抗体測定法の問題点を検討した.【方法】インフォームド・コンセントを得て血清Hp抗体法の検討に参加した30例(男:女=19:11)で,年齢は中央値56歳(38~78歳).血清抗体価は栄研のEプレート(正常値<10),尿中抗体価は大塚製薬のウリネリザ法(正常値<1)を用いて測定した.現感染のゴールデンスタンダードには尿素呼気試験を用いた.未感染は3法すべてで陰性のものとした.【成績】尿が得られなかった1例を除外して29例で検討した.血清Hp抗体と尿中Hp抗体はR値が0.5562で良好の相関が得られた(p=0.0017).尿中抗体価での感度は66.7%と低率であったが,特異度は87.5%と高率であった.一方,血清Hp-IgGのカットオフを従来法の10とした場合は特異度が50.0%と低率であるが,これを3未満にすると66.7%と向上した.また,血清抗体価が3以上10未満の症例に限定すると,8例中5例(67.5%)で尿中抗体が陽性であり,両検査を併用することで,現行の血清検査における偽陰性を回避できた.【結語】尿中Hp抗体価はABCD分類において有用な検査法であり,これを併用することで現行の血清Hp抗体法における偽陰性を回避することが可能であるが,血清抗体法でもカットオフ値を3未満にすることで特異度を上げ,その有用性を向上できると考えられた.
索引用語 血清Hp抗体, 尿中Hp抗体