セッション情報 ポスターセッション(消化器がん検診学会)

大腸1

タイトル 検P-14:

肛門科術前の大腸がん検診のあり方

演者 入江 朋子(高野病院・消化器外科)
共同演者 野崎 良一(高野病院・消化器内科), 山田 一隆(高野病院・消化器外科)
抄録 【目的】当院では年間1600件の肛門科手術前に肛門病変部の詳細観察と大腸がん検診目的に内視鏡検査を行う.以前はS状結腸内視鏡検査(SCS)が主であったが,平成23年度より40歳以上の患者に全大腸内視鏡検査(TCS)を勧奨している.TCS,SCSを比較し,当院の現状を報告する.【対象と方法】2008年1月から2013年2月までの肛門科手術予定患者8652例を対象とし,術前内視鏡検査をSCS群とTCS群とに分け,癌や腺腫の頻度について比較検討した.【結果】術前検査例は7252例(84%)であった(他院施行例は今回除外).SCS群5218例(72%),TCS群2034例(28%)であり,年齢はSCS群51.6±18.9歳,TCS群55.5±16.1歳(p<0.0001),男女比はSCS群とTCS群で有意差はなかった.年齢40歳以上はSCS群67%,TCS群81%,60歳以上はSCS群36.5%,TCS群45%であり,SCS群が有意に若かった(p<0.001).ポリープ陽性率はSCS群103(1.97%),TCS群611例(30%),最終病理診断で腫瘍性病変はSCS群68例(1.3%),TCS群539例(26.4%)で有意にTCS群の発見治療頻度は高かった(P<0.0001).詳細をみると,腺腫はSCS群45例,TCS群501例(p<0.0001),大腸癌はSCS群21例,TCS群33例(p<0.0001)であった.年代別でみると,腺腫は30歳未満8例(1%),30歳台38例(7%),40歳台54例(10%),50歳台124例(23%),60歳台174例(32%),70歳以上148例(27%),大腸癌は30歳未満1例(2%),30歳台0例(0%),40歳台5例(9%),50歳台13例(24%),60歳台22例(41%),70歳以上13例(24%)であった.TCS群の腺腫最深局在部はC:71例(14%),A:154例(31%),T:120例(24%),D:32例(6%),S:86例(17%),R:24例(5%)であり,深部大腸の治療が必要な群は全体の75%であった.ポリープ径の平均は5mm(2~35mm)であった.大腸癌陽性患者54例の詳細をみると,内視鏡治療23例,開腹手術31例(追加腸切除2例)であり,Stage0/1/2/3/4は25/13/6/5/4例であった.【結語】術前内視鏡検査としてSCSよりTCSは大腸がんスクリーニングとして有効であり,施設のマンパワーが許せばTCSが推奨されると思われた.
索引用語 大腸がん検診, 肛門科手術