抄録 |
【目的】大腸3D-CT(仮想内視鏡)読影において,医師と診療放射線技師が互いにブラインドで読影した結果の相違を検討することで,ブラインドダブル読影の有用性と読影のpit fallについて検討した.【方法】任意型検診として大腸3D-CTを受診した2,158症例を対象とした.読影方法は,3次元画像として精度検証済の仮想内視鏡画像(fly through)による拾い上げを行い,病変の診断や残液内あるいは死角部位の確認をMPRで行う3D primary readingとした.欧米あるいは日本の大規模多施設共同臨床試験で精度検証がなされていない大腸展開画像は一切使用しなかった.医師と診療放射線技師によるブラインドダブルチェックは行うものの,診断のすべては医師が行った.【成績】大腸3D-CTの検査陽性率(6mm以上の病変)は4.2%(90/2,158症例)で,腸管拡張不良などによる不完全な検査は0.6%(13/2158症例)であった.6mm以上の病変が内視鏡で確認されたのは81症例(陽性適中率90% 81/90)であった.2名の読影者間で6mm以上の病変の指摘が異なったのは5症例(5.6%,5/90)であった.読影の相違は,2体位の比較読影が不十分なこと80%(4/5),あるいは病変を疑った部位の内部CT値の判断ミスが原因20%(1/5)であった.【結論】2名の読影者の結果を比較することで偽陽性および偽陰性を5.6%減らすことが可能であった.また,不十分な2体位比較読影はpit fallになりえるため,読影の際に注意が必要である.精度の高い大腸3D-CT読影を行うためにブラインドダブル読影は有用であると考えられる. |