セッション情報 ポスターセッション(消化吸収学会)

消化吸収-1

タイトル 吸P-3:

胃排出速度の性周期における相違

演者 神山 祐子(東京家政大・栄養学科)
共同演者 宮原 舞(東京家政大・栄養学科), 深井 理沙(東京家政大・栄養学科), 堀越 美祐紀(東京家政大・栄養学科), 関目 綾子(東京家政大大学院), 宮坂 京子(東京家政大大学院)
抄録 【目的】C13呼気テストで,男性では,アルコールの胃排出速度が,非アルコール飲料(水,コンジェナー)より遅延しているが,女性ではその効果がはっきりしていないことを,既に本学会で報告した.女性は個人差はあるが,性周期によって体調の変化を感じることが多い.このことから,女性のアルコールの胃排出速度は,性周期(高温相,低温相)の影響を受けるのではないかと考えた.そこで,女性を対象とし,水,ウォッカの胃排出速度測定を,それぞれを高温時,低温時に行うことによって,女性の性周期によるアルコールの胃排出速度への影響を調べることとした.【方法】対象被験者の年齢は21歳で6名,BMIは19~22であった.対象被験者は数日間,早朝時体温を測り,低温相か高温相を調べた.前夜21時以降は絶食し,翌日9時から測定を開始した.実験前に呼気前値を採取し,安定同位体であるC13でラベルした酢酸100mgを,ウォッカ(アルコール分14%)または水に混入,撹拌し,摂取した.2時間までは5分ごとに呼気を採取し,それ以降は15分ごとに3時間まで呼気を採取し,C13排出量を呼気測定器で測定した.【結果】ウォッカの,高温相におけるC13最大排出量までの時間(Tmaxとする)の平均値は26.7分,低温相では36.0分,水の高温相におけるTmaxは28.3分,低温相では18.8分であった.低温相における水の胃排出速度が最も速く,ピーク値も高値を示した.【考察】女性の性周期の違いによって,胃排出速度が変化していることがわかった.低温相では,男性で見られたと同様に,アルコール飲料の胃排出速度は,水よりも遅延するという現象が認められた.高温相では,黄体形成によりプロゲステロンの分泌が亢進している.プロゲステロンは子宮などの平滑筋の収縮を抑制する働きがある.おそらく胃の平滑筋の収縮が抑制され,胃内容物の排出速度が遅くなっているのではないかと考えられる.
索引用語 性周期, 胃排出速度