セッション情報 |
ポスターセッション(消化吸収学会)
消化吸収-2
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タイトル |
吸P-5:Helicobacter pylori 感染が男性の骨密度へ及ぼす影響
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演者 |
珍田 大輔(弘前大大学院・消化器血液内科学) |
共同演者 |
下山 克(弘前大大学院・消化器血液内科学), 松坂 方士(弘前大附属病院・医療情報部), 中路 重之(弘前大大学院・社会医学), 福田 眞作(弘前大大学院・消化器血液内科学) |
抄録 |
【背景と目的】Helicobacter pylori (HP)感染は近年では全身疾患・生活習慣病との関連も報告されている.一般に骨粗鬆症は女性の疾患と受け取られがちだが,男性の骨粗鬆症も増加傾向で,その病因は明らかとなっていない.欧米ではHP感染,とくにCagA陽性株の感染が男性の骨粗鬆症の危険因子となりうるとされているが,本邦での検討はない.日本ではほとんどのHPがCagA陽性であり,感染者では高度の胃粘膜萎縮が起こり,酸分泌が減少している場合が多い.不溶性のカルシウム塩からのイオン化カルシウムの遊離は消化管内の酸性環境により促進されるため,日本では欧米よりもHP感染と骨密度の低下に,より明確な関連がある可能性がある.本研究ではHP感染と骨密度低下との関連を検討した.【方法】2005年4月青森県弘前市岩木地区の一般健診を受診した健常男性379名(22-81歳,平均57.6±14.2歳)を対象とした.血清HP抗体と便中HP抗原を測定し,両者が陽性の場合を感染者,両者が陰性の場合を非感染者とした.骨密度は超音波骨評価装置で踵骨の音響的骨評価値(OSI)を測定し,若年齢(20-44歳)の平均OSIよりも1.0 SD以上低い場合を骨減少症とした(T score,WHO診断基準).解析は年齢,BMI,喫煙習慣,飲酒習慣,定期的な運動,最終学歴,HP感染を独立変数,骨減少症の有無を従属変数とし,多重ロジスティック回帰分析により調整オッズ比を算出した.【結果】骨減少の有無に分けて比較した場合,年齢,BMI,HP感染率は2群間で有意差を認めた.しかし,骨減少症に対するHP感染陽性の調整オッズ比は1.90(p=0.29,95%CI: 0.58-6.19)であり,有意な関連はみられなかった.一方,年齢とBMIについてはオッズ比がそれぞれ1.05(p<0.001,95%CI: 1.03-1.07),1.02(p=0.58,95%CI: 0.94-1.11)となり,年齢と有意な関連を認めた.【結論】HP感染と骨密度の低下の間に有意な関連は認められず,欧米と異なる結果となった. |
索引用語 |
Helicobacter pylori 感染症, 骨密度 |