抄録 |
【目的】GFOはグルタミン,食物繊維,オリゴ糖を含有し,TPN施行患者の消化管粘膜の萎縮防止や終末期がん患者の免疫能の低下防止が報告されている.上記のような作用から,GFO摂取は化学療法の副作用である消化管障害を軽減させる可能性が考えられた.本研究では5-FU投与による消化管障害モデルラットにおける,GFO投与の障害軽減効果を検討した.【方法】試験物質(Normal群,5-FU群:水,Glucose群:12%糖液,GFO群:GFO)を9日間連日経口投与した.このうち5日目からNormal群以外の群に5-FU 50mg/kg/dayの経口投与を追加した.血液学的検査,血中DAO活性測定,回腸部病理検査を実施した.【成績】試験期間中5-FUの投与前までは一般状態の悪化はなく,体重増加,摂餌量が維持された.5-FU投与により5-FU群ではNormal群に比べ,体重減少,摂餌量低下,白血球,リンパ球数の低下,回腸部の絨毛長の萎縮がみられ,血中DAO活性は低値傾向であった.5-FU群に比べGlucose群ではこれらの障害が緩和される傾向であったが,有意差は認められなかった.これに対し,GFO群では体重,摂餌量の低下がみられたが,5-FU群に比してWBC,LYMPH低下軽減,回腸絨毛部の萎縮抑制が認められた.またDAO活性では5-FU群に比してGFO群で有意に高値であった.【結論】5-FU投与による消化管障害,白血球の低下にGFOの事前投与が有用であることが示唆された. |