セッション情報 | ポスターセッション(消化吸収学会)消化吸収-3 |
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タイトル | 吸P-11:外来BOT導入が体重減少改善に有効であった切除不能膵癌の2症例:膵癌患者における血糖コントロールの意義 |
演者 | 五十嵐 久人(九州大大学院・病態制御内科学) |
共同演者 | 大野 隆真(九州大大学院・病態制御内科学), 新名 雄介(九州大大学院・病態制御内科学), 肱岡 真之(九州大大学院・病態制御内科学), 内田 匡彦(九州大大学院・病態制御内科学), 李 倫学(九州大大学院・病態制御内科学), 植田 圭二郎(九州大大学院・病態制御内科学), 高岡 雄大(九州大大学院・病態制御内科学), 伊藤 鉄英(九州大大学院・病態制御内科学) |
抄録 | [背景]切除不能膵癌予後不良な疾患であるが,膵癌に伴う膵内外分泌機能低下は栄養障害や体重減少をもたらし,患者のPSやQOLを悪化させる.[目的]今回我々は,外来化学療法中に糖尿病悪化と体重減少を来した切除不能膵癌患者2症例に対し,BOT (Basal Supported Oral Therapy)を外来にて導入,良好な治療経過を得たので報告する.[症例1] 66歳,男性.2010年2月末に胃部不快感を契機に前医でstage IVa膵癌と診断,当科紹介された.十二指腸浸潤による狭窄を認め,2010年3月当院外科にてダブルバイパス術施行後に4月からGemcitabine 1600 mg/m2の3投1休にて全身化学療法開始.骨髄抑制によりGemcitabine 1200 mg/m2の隔週投与として継続したが,経過を通じて食思低下など他に有害事象は認められなかった.開始時のHbA1cは6.3% (JDS)であった.化学療法開始3カ月頃より体重減少が出現し,2011年1月には59.5kgあった体重が52.5kgまで低下,全身倦怠感も出現した.経口消化酵素剤投与量を増加するも体重減少は改善せず,Glimepiride 2mg/day服用下でHbA1c は10%近くまで増悪した.血中CA19-9の上昇(50から345 IU/L)も認め,膵癌そのものの増悪を疑ったが画像所見上SDを維持していた.糖代謝悪化が体重減少の原因と考えるも入院加療を拒否されたため,Glimepiride継続のまま外来にてInsulin glargineの一日1回自己注射を導入した.2011年8月までにHbA1cは6%台まで改善,体重増加とCA19-9の低下が認められ,倦怠感も消失した.その後,約1年間外来化学療法を継続することが可能であった.[考察・結語]膵内外分泌機能低下に対する適切な補充療法は,膵癌患者のPSを保つためには有効である.強化インスリン療法に抵抗感のある患者に対しても,BOTは外来で導入しやすく有効な症例が経験される.同様な症例2を提示し,膵癌患者に対する血糖コントロールの意義について考察する. |
索引用語 | 切除不能膵癌, 糖尿病 |