セッション情報 ポスターセッション(消化吸収学会)

消化吸収-4

タイトル 吸P-16:

高齢糖尿病患者に対するDPP-4阻害薬の有用性-血糖コントロールおよび栄養状態の面から-

演者 田中 光(弘前市立病院・内科)
共同演者 東野 博(弘前市立病院・内科), 中畑 久(弘前市立病院・内科), 坂本 十一(弘前市立病院・内科), 山形 亮(弘前市立病院・内科), 相原 智之(弘前市立病院・内科), 清野 祐輔(弘前市立病院・内科), 飯野 勢(弘前市立病院・内科), 佐竹 美和(弘前市立病院・内科), 今 昭人(弘前大大学院・内分泌代謝内科学), 佐藤 江里(弘前大大学院・内分泌代謝内科学), 松本 敦史(弘前大大学院・内分泌代謝内科学), 松橋 有紀(弘前大大学院・内分泌代謝内科学), 柳町 幸(弘前大大学院・内分泌代謝内科学), 長谷川 範幸(国保板柳中央病院・内科), 丹藤 雄介(弘前大・保健学科), 中村 光男(弘前大・保健学科)
抄録 【目的】近年,高齢者の糖尿病患者が増加傾向にある.糖尿病患者には食事指導が行われるが,以前のわれわれの検討では,高齢糖尿病患者に対する食事制限はかえって栄養状態の悪化や低アルブミン血症を増加を引き起こしていた.さらに,高齢糖尿病患者に対する薬物療法は,重篤な低血糖やインスリン自己注射手技なども問題となる.一方,近年開発されたDPP-4阻害薬は,血糖コントロールの改善効果のみならず,体重増加や低血糖などの副作用が少なく安全性の面でも注目されている.今回われわれは,高齢糖尿病患者に対して食事制限を行わずにDPP-4阻害薬を投与して,投与前後の血糖コントロールおよび栄養状態を比較検討した.【方法】対象は,外来通院中で栄養状態良好な70歳以上の糖尿病患者12例(男性5例,女性7例,平均年齢77.3±6.8歳)である.対象に栄養指導を行わずにDPP-4阻害薬を3~15ヶ月間投与し,投与前後の血糖コントロールおよび栄養指標の比較を行った.【成績】体重は,DPP-4阻害薬投与前後で変化を認めなかった.HbA1cは,投与前8.1±1.4%に対し,投与後7.2±1.2%と有意な低下を認めた.血清アルブミンは,投与前4.01±0.12g/dlに対し,投与後4.13±0.23g/dlと変化を認めず,新たに低アルブミン血症をきたした例は存在しなかった.血清総コレステロールおよび血色素量も,変化を認めなかった.さらに,観察期間中に低血糖をはじめとした副作用を発現した例は認めなかった.【結論】DPP-4阻害薬は,高齢糖尿病患者に対する薬物療法として適していると考えられる.高齢糖尿病患者に対しては,食事摂取量を制限せず,薬物療法によって栄養状態を低下させずに血糖コントロールを改善させる治療法も選択肢の一つとなる.
索引用語 高齢者, 糖尿病