セッション情報 ポスターセッション(消化吸収学会)

消化吸収-4

タイトル 吸P-17:

がんセンターにおけるNST始動と問題点

演者 根東 順子(国立九州がんセンター・消化器外科)
共同演者 杉本 理恵(国立九州がんセンター・消化器内科), 古川 正幸(国立九州がんセンター・消化器内科)
抄録 【目的】がん患者数は年々増加傾向にあり,今後,がん治療におけるNSTは重要性を増していくと思われる.がん治療の過程において患者は様々な原因で低栄養状態となり得るため,がん専門病院での患者背景は一般病院と異なる特徴があり,NSTの介入方法には工夫が必要と考えられる.当施設では2012年4月から積極的なNST介入を開始した.介入した症例を検討し,がん専門病院における特徴を明らかにするとともに問題点を拾い上げる.【方法】当施設において2012年4月から12月にNSTが介入した症例は延べ27例(実26例)であった.各症例の診療録から,病状・治療状況・栄養状態・栄養管理状況・NST介入内容などのデータを抽出し,対象とした症例の特徴を明らかにする.【結果】平均年齢66.1(18-86)歳,男19例/女8例.治癒切除術後非担癌状態4例/担癌状態23例.栄養不良の主原因は,消化管通過障害7例/化学療法11例.介入開始時のPerformance status(PS)0/1/2/3/4は0/3/10/10/4例,平均BMI18.4(12.4-24.2),血中アルブミン値2.5(1.1-3.5)g/dl,CRP値5.1(0.2-27.0)mg/dl.完全中心静脈栄養は消化管通過障害の2例のみ.平均介入期間3.7(1-11)週.転帰は,軽快退院11例/転院10例/死亡または転院後7日以内死亡6例.明らかな悪液質併発例は死亡例6例のうち3例であった.【結語】担癌状態で炎症を伴う症例が多く,十分な改善が得られないまま転院や死亡することが多かった.病状が不安定ながん患者を対象としたNSTの問題点としては,介入対象者の選択方法や開始時期のほか,炎症などの病状による消費エネルギー量の評価,悪液質の有無の評価,制約された栄養投与経路での栄養管理などが挙げられる.また,転院前や終末期の短期間に効果的な介入をしていくためには,詳細な治療目標や予定について主治医とNSTとが十分な意思疎通を図ることも重要と考えられた.
索引用語 NST, がん