セッション情報 ポスターセッション(消化吸収学会)

消化吸収-5

タイトル 吸P-23:

エキセナチドによる食欲抑制作用の特徴- Visual analogue scale(VAS)を用いた検討-

演者 秋山 俊治(秋山内科クリニック)
共同演者 上原 智仁(産業医大・1外科), 川崎 か代(秋山内科クリニック), 田子 輝幸(秋山内科クリニック), 秋山 俊夫(秋山内科クリニックDELIMITERみたき総合病院)
抄録 【背景】GLP1アナログであるエキセナチドは視床下部に作用し食欲抑制作用をもつ新規糖尿病治療薬である.血糖依存的インスリン分泌作用と供に抗肥満作用を持つことから肥満を伴った糖尿病患者への有効性が期待されているが,ヒトにおける食欲抑制作用の特徴については現在検討中である.Visual analogue scale (VAS)は疼痛の治療による改善効果の評価に多く使用される.痛み等の個々の患者によって感じ方が異なる感覚の比較は困難であるが,VASは同一患者の治療前後の痛み等の程度は良く反映し,再現性が高いとされている.【目的】エキセナチドによる食欲抑制作用の特徴について抗肥満薬であるマジンドールと食欲抑制作用の特徴についてVASを用いた検討を行った.【方法】マジンドール投与患者(M群)およびエキセナチド投与患者(E群)を対象に,食欲抑制作用の評価として食品交換表の表1より6の項目に関する食欲の変化および不快感に関する項目として腹部膨満感,嘔気・悪心,下痢・便秘等消化器症状について治療前後におけるVAS値の変化についてアンケート調査を行った.【成績】アンケートはM群3例,E群17例に実施した.治療開始前を100mmとしたM群およびE群のVAS値(mean±SD)は食欲の変化に関して食品交換表の表1より6までそれぞれ61.5±29.1mmおよび41.7±14.4mm,68.8±34.4mmおよび50.0±25.0mm,52.9±37.5mmおよび41.7±14.4mm,54.7±42.7mmおよび41.7±38.2mm,51.0±44.6mmおよび33.3±28.9mm,72.9±36.0mmおよび50.0±25.0mmと両群とも有意に低下したが(p<0.01),M群では食品交換表の項目内における食欲低下が全体に生じるのに対しE群では項目間での差が見られ標準偏差が大きくなる傾向が見られた.不快感に関しては全ての項目に関してE群で強い傾向が見られた.【結論】 エキセナチドはマジンドールと比較しても強力な食欲抑制作用を持つが,不快感が強い治療薬で食品種に対する嗜好の変化が見られる.
索引用語 食欲抑制作用, エキセナチド