抄録 |
C型肝炎において,高齢者や肝線維化進展例,肝癌治癒後症例では発癌リスクが高く,早期のウイルス排除が必要である.Telaprevir/Peg-IFN/RBV3剤併用療法の登場により抗ウイルス効果は向上したが,高齢者などでは忍容性が低いためその適応が難しい.また,副作用が少ない経口DAAs併用療法が一般臨床で使用可能となるまでには暫くの時間を要する.したがって,発癌高リスク群ではPeg-IFN/RBVが発癌抑制を目指した治療の選択肢である.今回,Osaka Liver ForumにおいてPeg-IFNα2b/RBV療法を施行したC型慢性肝炎・肝硬変2600例と,肝癌治癒後99例を対象として,Peg-IFN/RBV療法の肝発癌抑制効果を検討した.C型慢性肝炎・肝硬変例においては,高齢 (55歳未満群vs. 55-65歳群,Hazard ratio; HR:5.5, vs. 65歳以上群,HR:9.9),男性(HR:4.4),血小板15万未満群(HR:2.6),AFP5ng/ml以上群(HR:2.8)で有意に発癌が高率であった.治療効果別には,無効群に比し再燃群(HR:0.44),著効群(HR:0.26)では有意に発癌が低率であった.発癌高リスク群である65歳以上の3年累積発癌率は,無効群:6.5%に対し,再燃群:2.5%,著効群:0.5%と有意に発癌率が低率であった(ウイルス学的著効率: Genotype1型39%,Genotype2型76%).また,肝線維化進展例と考えられる血小板10万未満の症例の3年累積発癌率は,無効群:13.3%に比し,再燃群:2.0%,著効群:3.6%と有意に発癌率が低率であった(ウイルス学的著効率: Genotype1型26%,Genotype2型68%).一方,初発・単発肝癌治癒後症例における検討では,血小板低値群(p=0.023)で有意に発癌が高率であり,著効群では非著効群に比し,有意に発癌が抑制された(p=0.023).以上の通り,発癌高リスク群である高齢者,肝線維化進展例,肝癌治癒後症例においても,Peg-IFN/RBV療法による治療介入により,著効例や再燃例では発癌抑制効果が認められ,治療待機することなく積極的な導入が望まれる. |