セッション情報 ランチョンセミナー(消化器内視鏡学会)

食べるためのPEGと半固形化栄養法

タイトル ラン41-1:

食べるためのPEGと半固形化栄養

演者 東口 髙志(藤田保健衛生大・外科・緩和医療学)
共同演者
抄録 食は命の源である.このことはあまりにも当たり前すぎることから,時にはその大切さや尊さを見失ってしまう.しかし,何らかの疾病に罹患した際には,その大切さを痛感させられる.もちろん食はエネルギー供給という意味では,生物にとって大切な生命を紡ぐ営みである.また,食はいきいきと生きるために必要であり,喜びも悲しみもまた苦しみも実は食,すなわち栄養が満たされていないと人間らしく感じることもできない.要するに,いかなる理由であろうと食が機能しないと人間は生物的かつ人間的な活動が制限され,さらに長期間栄養補給がなくては必ず死に至る.われわれが,食と命との関係を強く考えさせられる場面は,がん症例の他,脳血管障害や廃用症候群を併発した高齢者の医療に携わるときであろう.人口統計的に明察されるわが国の未来は,推定死亡者数が120万人から170万人に膨れ上がり,『50万人の患者の命』が路頭に迷うであろう極めて不安定な未来である.このような将来に対する対策のひとつが,『食べて治す,食べて癒す』をキーワードとする病院自宅化および自宅病院化プロジェクト(在宅-訪問看護-長期療養施設―回復期施設-病院医療の一本化)であり,特に高齢者を中心として“食力”を如何に維持し,改善させるかである.すなわち,この“食力”を重視した医療の展開こそが,食といのちを紡ぐ将来の重要な政策であると思われる.このなかで内視鏡的胃瘻増設術(PEG)やそれを用いた適正栄養管理法は,『食べるためのPEG』として大きな役割を演じる.しかも,投与する栄養剤の形状を変化させて『半固形化』することによって,わが国の医療と社会状況に極めて適した栄養管理法となる.2007年に設立した日本栄養材形状機能研究会は,栄養材の形状を変化させることによって生じる機能について研究する世界で初めての学術集団である.そこで,将来のわが国の医療を基盤から支える栄養療法として,『食べるためのPEG』とそれを支援するための『半固形化栄養』について,日本栄養材形状機能研究会の研究成果を含めてご紹介する.
索引用語