セッション情報 ワークショップ11(消化器病学会・肝臓学会・消化器がん検診学会合同)

低侵襲な肝疾患診断法の進歩

タイトル 肝W11-2:

ELFスコアおよびVTTQを用いた肝線維化診断の有用性

演者 高嶋 智之(兵庫医大・内科(肝・胆・膵科))
共同演者 飯島 尋子(兵庫医大・内科(肝・胆・膵科)DELIMITER兵庫医大超音波センター), 西口 修平(兵庫医大・内科(肝・胆・膵科))
抄録 【目的】肝線維化診断は、肝生検による方法が一般的であるが侵襲的かつサンプリングエラーなどの問題がありこれまでに血清中のバイオマーカーや画像診断を応用した非侵襲的検査法が次々に開発されている。今回我々は、新たな血清線維化診断法であるEnhanced Liver fibrosis panel (ELF)とVirtual Touch Tissue Quantification (VTTQ)を用いた肝線維化診断の有用性につき検討した。【方法】2009年2月から2011年10月に肝生検を行い、肝生検と同日にVTTQ(Siemens ACUSON S2000)でVs値を測定し、血清を保存できた慢性肝疾患178例(B型23例、C型113例、B+C型1例、非B非C型41例、平均年齢58.0±13.2歳、男性89例、女性89例)を対象とした。線維化(F)程度は、F0 8例, F1 71例,F2 29例,F3 45例,F4 25例である。ELF試験では、血清ヒアルロン酸(HA)、プロコラーゲン3アミノ酸末端ペプチド(P3P)、組織メタプロテアーゼ阻害物質1(TIMP-1)の測定値を組み合わせたアルゴリズムよりELFスコアを算出し肝線維化診断に対する有用性について検討した。【結果】各F因子別のELFスコアはF0;8.71、F1;8.90、F2;9.89、F3;10.17、F4;11.01とVs値(m/s)の平均値はF0;1.11、F1;1.16、F2;1.28、F3;1.62、F4;1.97であり線維化の進展に伴い増加した。肝硬変の診断能は、ELF、VTTQそれぞれAUROC 0.83 (P<0.001)、0.83(P<0.001)と良好な判別能を得た。Cut off値をELFスコアでは9.8、VTTQでは1.58とした時の感度、特異度、陽性的中率はそれぞれ96%,75%、63%,87%、29%,46%であった。各線維化マーカーとF因子別の相関係数は、HA;0.506(P<0.001)、P3P;0.314(P<0.001)、TIMP-1;0.375(P<0.001)、ELF;0.572(P<0.001)、4型コラーゲン7S;0.537(P<0.001)といずれも有意差を認めたが、特にELF、4型コラーゲン7Sで良好な相関を認めた。【結語】ELFスコアおよびVTTQは肝線維化診断に有用な非侵襲的な検査法である
索引用語 肝線維化, ELFスコア