セッション情報 ワークショップ11(消化器病学会・肝臓学会・消化器がん検診学会合同)

低侵襲な肝疾患診断法の進歩

タイトル 肝W11-3:

HCV感染者におけるARFIによる肝硬度測定の有用性の検討

演者 原田 雅生(藤田保健衛生大・肝胆膵内科)
共同演者 川部 直人(藤田保健衛生大・肝胆膵内科), 吉岡 健太郎(藤田保健衛生大・肝胆膵内科)
抄録 【目的】Acoustic Radiation Force Impulse(ARFI)により非侵襲的に肝線維化を定量的に評価できることが報告されている。HCV感染者の肝硬度についてstageとの関係、加齢による変化、HCCの有無との関係について検討した。【方法】2009年10月から2011年11月までにHCV感染者765例(HCC 62例)においてACUSON S-2000(Siemens)を用いて肝硬度測定を1765回行った。【成績】49例の肝生検例における肝硬度によるstage診断能のROC解析では、F2のAUROCとカットオフ値は0.891と1.23m/s、F3は0.904と1.46 m/s、 F4は0.957と1.93 m/sであった。加齢による肝硬度の変化については、男性では20歳代1.22±0.26m/s、30歳代1.25±0.28m/s、40歳代1.30±0.38m/s、50歳代1.50±0.48m/s、60歳代1.56±0.61m/s、70歳以上1.75±0.64m/s、女性ではそれぞれ1.10±0.12m/s、1.15±0.24m/s、1.26±0.43m/s、1.38±0.46m/s、1.63±0.60m/s、1.70±0.65m/sであり加齢とともに肝硬度は上昇していた。男性では40歳代と50歳代の間(p=0.0149)、女性では50歳代と60歳代の間(p=0.0033)で有意な上昇がみられた。HCCの有無を判定するためのAUROCは0.818、層別尤度比は1.23m/s未満では0.19(95%CI:0.08-0.42)、1.23-1.46m/sでは0.23(0.08-0.63)、1.46-1.93m/sでは1.16(0.69-1.96)、1.93-2.58m/sでは3.06(2.83-4.46)、2.58m/s以上では5.00(2.91-8.59)であった。【結論】ARFIは線維化stage診断能が優れていた。また加齢による肝線維化進展の評価、HCCの有無の判定に有用であった。
索引用語 ARFI, 肝硬度