セッション情報 | シンポジウム4(消化器がん検診学会・消化器病学会・消化器内視鏡学会合同)胃がん検診の理想的な住み分け:新しい検診方式を目指して |
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タイトル | 検S4-5:千葉県一地方都市の地域胃がん検診受診者のペプシノーゲン陽性率 |
演者 | 山口 和也(ちば県民保健予防財団・総合健診センター) |
共同演者 | 杉山 園美(ちば県民保健予防財団・総合健診センター), 林 学(ちば県民保健予防財団・総合健診センター) |
抄録 | 千葉県では地域胃がん検診として胃レントゲン検査が行われている。当地域胃がん検診受診者のペプシノーゲン(以下PG)陽性率は明らかにされていなかった。 【目的】地域胃がん検診受診者のPG陽性率を明らかにすること。 【対象】千葉県東金市(人口60919人)における地域胃がん検診受診者2695名(男性724名、女性1971名)。 【方法】市とのモデル事業とし、平成23年9月から12月、胃がん検診受診の際に、血液を採取し、PGI、PGIIを測定。また、ヘリコバクターピロリ抗体(以下HP)も測定した。PGは、PGI 70ng/ml以下かつPGI/II 3.0以下を陽性基準とした。胃レントゲン撮影は新撮影法ガイドラインに基づき高濃度低粘稠バリウム(200%、150ml)を用いた8枚法で実施。レントゲン撮影の結果要精密検査と判定された者は、精密検査として内視鏡検査を受診。生検あるいは手術による病理検査で確定診断を受けたものをがんとした。 【結果】PG陽性が30%、陰性が70%であった。さらにHPで分けると、PG陰性、HP陰性の者は56%、PG陰性、HP陽性の者は14%、PG陽性、HP陽性の者は27%、PG陽性、HP陰性の者は3%であった。抄録登録時点で、精密検査の結果で胃がんの確定診断が得られたのが2例であり、いずれもPG陽性、HP陽性であった。いずれも早期胃がんであった。 【考察】検診受診率が低い地域住民検診であり、73%が女性と偏った男女比である。また、65才以上の受診者の割合も40%と高いのも特徴である。PG陽性者をすべて胃内視鏡検査を行うとすると、内視鏡件数が約3倍となり、地方都市の内視鏡検査態勢ではとても対応できない。対策型地域住民検診としての組み込みには、PG陽性率等の十分な事前調査や精密検査態勢、陽性的中率の評価が必要である。事務手続き上の導入しやすさから、今回、この方式を採用した。同年度、同市では胸部レントゲン検診を7067名が受診した。事前に啓蒙活動として広く血液検査を行い、PG陽性でリスクの高い方には積極的に胃レントゲン検査を受けていただくように案内を行うというのも一案である。 |
索引用語 | ペプシノーゲン, 地域胃がん検診 |