セッション情報 |
ワークショップ11(消化器病学会・肝臓学会・消化器がん検診学会合同)
低侵襲な肝疾患診断法の進歩
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タイトル |
消W11-4:急性肝炎におけるVirtual Touch Tissue Quantification(VTTQ)の有用性:急性期の肝細胞壊死と炎症評価に関する基礎的検討をふまえて
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演者 |
黒田 英克(岩手医大・消化器・肝臓内科) |
共同演者 |
滝川 康裕(岩手医大・消化器・肝臓内科), 鈴木 一幸(岩手医大・消化器・肝臓内科) |
抄録 |
【背景】我々は、VTTQを用いて急性肝炎の肝硬度を測定し、急性期の肝硬度上昇が重症度評価の指標となる可能性を報告してきた(第48回日本肝臓学会総会)。肝硬度上昇は肝細胞壊死と炎症に起因すると推測されるが、病理学的検討が困難な点から未だ不明瞭な点も多い。今回、急性肝炎における肝硬度測定の有用性を検討するとともに、急性肝炎モデルを作成し、肝硬度と病理所見との対比を中心に基礎的実験を行った。【対象・方法】対象は2010年4月から2012年3月まで当科にて入院加療した急性肝炎33例(うち重症型(AHS)7例、劇症肝炎(FH)5例)である。成因はウイルス性10例、薬物性4例、自己免疫性4例、成因不明例15例。男性13例、女性20例、平均年齢48.1歳。使用機種はACUSON S2000 (Mochida Siemens Medical Systems)。入院時から5日毎にVs値を測定し、肝機能の変遷、重症度と比較した。また、体重350-400gのWistar系雄性ラットにD-galactosamine (1g/kg BW)を腹腔内投与し肝障害を作成。投与から6、12、24時間後にVs値を測定。摘出肝の肝障害の程度はPickeringのGradingにより分類した。【結果】(1)急性肝炎重症度別の入院時Vs値は、AH:1.72±0.37m/s、AHS:2.35±0.54m/s、FH:2.82±0.39m/sであり、肝炎重症度に伴い有意に高値を示した (P<0.01)。生存例(n=28)では肝機能の改善に伴いVs値の有意な低下を認めた(P<0.01)。 (2)実験的肝障害Grade別のVs値は、Grade0:1.12±0.11m/s、Grade2:1.35±0.14m/s、Grade3:1.61±0.39m/s、Grade4:1.89±0.24m/s、Grade5:2.21±0.54m/sであり、壊死ならびに炎症が高度になるとともに有意な高値を示した (P<0.01)。【結語】急性肝炎では肝細胞壊死と炎症の影響でVs値が上昇する。Vs値は重症度や病態を反映する新たな予後予測指標となる可能性が示唆され、VTTQは有用な検査と考えられた。 |
索引用語 |
急性肝炎, VTTQ |