セッション情報 |
ワークショップ11(消化器病学会・肝臓学会・消化器がん検診学会合同)
低侵襲な肝疾患診断法の進歩
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タイトル |
肝W11-5:肝硬度を用いた慢性肝疾患における肝発癌リスクの評価
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演者 |
辰巳 明久(山梨大・1内科) |
共同演者 |
進藤 邦明(山梨大・1内科), 榎本 信幸(山梨大・1内科) |
抄録 |
【背景・目的】従来、肝線維化の診断による肝発癌リスク評価は肝生検にて行なわれてきたが、侵襲的でありスクリーニング検査としては行い難い。Transient Elastographyは肝線維化の程度を肝硬度(kPa)として非侵襲的に測定することができる。肝硬度測定が慢性肝疾患患者の肝発癌予測に有用であるかを評価するため、肝硬度によるHCC群と非HCC群との分別能、また非HCC群において、1年後の肝発癌率を検討した。【対象と方法】対象は2010年1-12月の1年間に当院の肝臓専門外来を受診または入院した慢性肝疾患患者で検査同意が得られた349症例。肝硬度の測定はFibroScan® (ECHOSENS, Paris, France)を用いて測定した。分別能の評価にはROC解析を用いた。【結果】HCC群は111例(HBV:15例、HCV:74例、NBNC 22例)、非HCC群は238例(HBV:17例、HCV:189例、NBNC 32例)であった。肝硬度はHCC群23.8±11.3kPa、非HCC群10.3±6.1kPaで有意にHCC群が高値であった。肝硬度における分別能をROCにて解析したところAUCは0.83と高い分別能が得られた。同様の検討をC型慢性肝炎例263例(HCC群 74例、非HCC群189例)に限定して行ったところAUCは0.89とさらに分別能が高まった。肝硬度のCut off値を12.2 kPaに設定したところ、12.2kPa以上は91例でそのうちHCCは60例(65.9%)であり、また12.2kPa未満では161例中HCCはわずか5例(3.1%)であった。つぎにC型肝炎における非HCC群の1年後の肝発癌率は肝硬度12.2kPa未満では188例中1例も肝発癌がなかったのに対し、12.2kPa以上では40例中3例(7.5%)肝発癌が見られた。【結論】肝硬度測定はHCC分別能に優れていた。特にC型肝炎では12.2kPa以上にて1年肝発癌率は従来、肝生検で求められたF4の肝発癌率とほぼ同等であり、今後肝生検にかわる非侵襲的な肝発癌リスク評価のモダリティーとなると考えられた。 |
索引用語 |
肝硬度, 肝発癌 |