セッション情報 ワークショップ11(消化器病学会・肝臓学会・消化器がん検診学会合同)

低侵襲な肝疾患診断法の進歩

タイトル 肝W11-7:

C型慢性肝炎におけるReal-time tissue elastographyによる肝線維化と鉄沈着の評価とインターフェロン治療効果予測について

演者 林 和彦(名古屋大・消化器内科)
共同演者 片野 義明(名古屋大・消化器内科), 後藤 秀実(名古屋大・消化器内科)
抄録 【目的】肝生検は、肝線維化や鉄過剰などの有用な情報を得る事ができるが、侵襲があるため、近年超音波を利用したReal-time tissue elastography(RTE)が開発された。C型慢性肝炎では肝線維化や鉄沈着は病期の進行、発癌、インターフェロン(IFN)治療と関連があるため重要である。今回RTEの肝線維化、鉄沈着、IFN効果の診断精度について解析したので報告する。【方法】C型慢性肝炎97例と肝硬変14例の計111例。RTEは、超音波診断装置で測定し、透過電子顕微鏡のエネルギー分散型X線分光法で肝細胞内の鉄を計測した。【成績】肝生検の結果は、F0;24例、F1;38例、F2;19例、F3;12例、F4;16例であった。肝線維化ステージと相関があった因子は、Mean、Standard Deviation、Mean of Complexity、Binary Threshold、Contrast、Skewnessであった。最も有意であった因子であるMeanと肝線維化についてROC解析を行った。F1以上を判別するAUCは、0.761 、F2は0.791、F3は、0.819、F4は、0.7917 であった(すべてP<0.05)。電顕解析した70例中46例に鉄沈着を認め、鉄沈着群で有意にSkewnessが上昇していた(p=0.0078)。IFN治療したgenotype 1b30例で、MeanとIFNの著効率 (SVR)を解析した。ROC曲線よりカットオフ値を103とし、103以上をsoft群、103未満をhard群とした。hard群のSVRは25% ( 3/12)でsoft群が38.9% (7/18)と肝硬度の進行したhard群でSVRは低下していたが、有意差はなかった。SVRと関連する IL28B と組み合わせると難治性GアレルでSVRとなった2症例はともにsoft群であった。【結論】RTEは線維化と鉄沈着の評価が可能であり、IL28Bとの組み合わせでIFN治療効果予測も可能であった。
索引用語 C型慢性肝炎, 肝硬度