セッション情報 ワークショップ11(消化器病学会・肝臓学会・消化器がん検診学会合同)

低侵襲な肝疾患診断法の進歩

タイトル 消W11-8:

C型慢性肝疾患の病期進展度診断におけるArrival-time Parametric Imagingの有用性について

演者 和久井 紀貴(東邦大医療センター大森病院・消化器内科)
共同演者 高山 竜司(東邦大医療センター大森病院・消化器内科), 住野 泰清(東邦大医療センター大森病院・消化器内科)
抄録 肝臓は門脈と肝動脈の2系統で栄養されている。C型肝炎ウイルスに罹患し病変が進展すると、肝血流バランスは門脈優位から肝動脈優位へと変化する。この肝血流バランスを画像診断で定量的に評価できれば病変進展度合い、すなわち肝線維化や門亢症による合併症の推測などを非侵襲的に行えるため臨床的に役立つ。【目的】C型慢性肝疾患における肝実質血流動態をArrival-time Parametric Imaging(At-PI)で検討し、肝線維化と食道静脈瘤の有無の判定に有用か否か明らかにする。【方法】対象は2007年~2012年までに肝生検を行い、かつ、その直前にソナゾイド造影USと上部内視鏡を施行し得たC型慢性肝疾患119例。東芝AplioXGを用いて、推奨量のソナゾイドを静注し右肋間走査で肝S5-6領域と右腎臓の染影動態を40秒間動画で記録した。記録動画から染影開始5秒までを赤色、5秒以降を黄色に色分けするように肝実質のAt-PI を作成した。得られたAt-PI から、肝全体の染影に対する赤色面積の割合(ROR)を画像処理ソフトimage Jを用い算出し、肝生検(F因子)と対比し各群間のRORの多重比較を行った。またROC曲線を用いてAt-PI による線維化診断能と食道静脈瘤検出能についても検討した。食道静脈瘤(+)は形態F1~F3 のものとした。また健常コントロール12例も対象とした。本研究は院内倫理委員会の承認と患者の同意を得て行った。【成績】肝F因子とRORの多重比較を行った結果、健常者とF2、健常者とF3、健常者とF4、F1とF2、F1とF3、F1とF4、F2とF4に有意差(p<0.01)を認めた。F4以上の診断能はROC下面積(AUC)が0.968、cutoff値69.0で感度92.3%、特異度90.4%、F2以上はAUCが0.855、cutoff値19.2で感度83.8%、特異度63.3%、食道静脈瘤(形態F0 vs F1以上)の診断能はAUCが0.905、cutoff値83.5で感度80.0%、特異度95.2%であった。【結語】At-PIによるC型慢性肝疾患の肝実質血流の解析は、非侵襲的に肝線維化と食道静脈瘤の有無を知ることができ有用であった。
索引用語 肝線維化, C型肝炎