セッション情報 ワークショップ11(消化器病学会・肝臓学会・消化器がん検診学会合同)

低侵襲な肝疾患診断法の進歩

タイトル 肝W11-9:

C型慢性肝炎におけるFIB-4 indexを用いた肝線維化進行予測および肝発癌予測の検討

演者 玉城 信治(武蔵野赤十字病院・消化器科)
共同演者 黒崎 雅之(武蔵野赤十字病院・消化器科), 泉 並木(武蔵野赤十字病院・消化器科)
抄録 【目的】FIB-4 indexは以下の式((年齢x AST)/(血小板数[109/L] x(ALT)1/2)によって算出される非侵襲的な肝線維化予測値であり、簡便に反復して測定できるメリットがある。そこでFIB-4の経時的変化と肝線維化進行および肝発癌との関連を検討した。【方法】当院にて2回肝生検を施行したC型慢性肝炎患者285例を対象とした。肝生検で得られたFibrosis stageの変化とFIB-4の変化および肝発癌とFIB-4の関連について検討をおこなった。【結果】肝線維化進行予測:2回肝生検間の平均期間は4.8年であった。肝生検で経時的にFibrosis stageが改善/不変/悪化の3群でFIB-4の経時変化を比較するとΔFIB-4/年((2回目肝生検時FIB-4-1回目肝生検時FIB-4)/観察期間)はそれぞれ-0.18±0.39/0.05±0.37/0.30±0.53(p<0.001)であり、Fibrosis stageの改善にしたがってFIB-4は経時的に減少し、悪化にしたがい増加した。ΔFIB-4/年:0.4を用いてF3/F4への進行を検討すると3年、5年累積のF3/F4進行率はΔFIB-4/年≧0.4:25/48%、<0.4:1/7%でありΔFIB-4/年が高値の症例においてより線維化の進行が高度であった(p<0.001)。肝発癌予測:1回目肝生検から平均で11.5年の観察期間であり、27例の発癌を認めた。2回目肝生検時のFibrosis stageで層別化するとF1-2/F3-4群の累積発癌率7/10/15年でそれぞれ2/5/7%および7/21/36%であった(p<0.001)。同様にFIB-4:3.2をカットオフとすると累積発癌率はFIB-4≦3.2:2/4/5%、>3.2:6/19/34%とFIB-4>3.2で有意に高く(p<0.001)、Fibrosis stageと同等に発癌症例の囲い込みが可能であった。経時的変化と発癌について検討するとFibrosis stage改善/不変/悪化の3群での累積発癌率に有意差は認められなかった。ΔFIB-4/年:0.2で検討すると7/10/15年累積発癌率は ≧0.2:11/21/29%、<0.2:2/3/8%と経時的なFIB-4の増加の大きい症例において高率であった(p<0.001)。【結語】FIB-4の経時的変化の観察によって線維化進行および肝発癌の予測をすることが可能である。
索引用語 FIB-4, Fibrosis