セッション情報 ワークショップ11(消化器病学会・肝臓学会・消化器がん検診学会合同)

低侵襲な肝疾患診断法の進歩

タイトル 肝W11-10:

当院のC型慢性肝炎患者におけるFibroTestの検討

演者 長田 成彦(東海大大磯病院・消化器内科)
共同演者 峯 徹哉(東海大大磯病院・消化器内科), 福里 利夫(帝京大・病理学)
抄録 【目的】現在、日本ではC型慢性肝炎の肝組織の評価は肝生検により行われている。しかし肝生検は必ずしも安全な方法とは言えない。また病状が長期にわたるにもかかわらず、繰り返して行なうことは困難である。FibroTest (FT), ActiTest (AT)は、フランスのPoynardらにより、α2マクログロブリン、パプトグロビン、γ-GTP、総ビリルビン、アポリポ蛋白A1とALTの6つの項目を測定しそれをもとに独自の方式で算出したものである。欧米では非侵襲的な採血で肝組織の線維化、炎症を知り得る方法として一般的に測定されている。当院のC型慢性患者におけるFT, ATの有用性の検討を行なった。【方法】東海大学病院に入院し、肝生検を行い、同時に血清を保存し得たC型慢性肝炎患者110名を対象とした。肝組織の評価はMetavir分類に行った。血清117サンプルは-80 ℃でフランスに空輸し、フランスPitié Salpetrière病院で2007年7月と8月の間にFT, ATの測定を行った。そして、肝組織像とFT, ATの対比を行った。また、少数であるが同一症例の経過観察を行った。【成績】FTの肝硬変診断におけるAUROCは0.81で、調整された値は0.89であった。FTのプレ肝硬変、および肝硬変診断におけるAUROCは0.86であった。中等度から高度の肝の炎症におけるATは0.74だった。この結果より、C型慢性肝炎患者における肝組織像とFTとATは有意な相関を示した。【結論】日本のC型慢性肝炎患者における肝組織とFT, ATの対比は欧米による結果と同様であった。日本と欧米では生化学値の測定法が異なるが、同様の検査法で行えば、日本においてもFT, ATの測定は有用と考えられた。
索引用語 C型慢性肝炎, FibroTest