セッション情報 |
ワークショップ11(消化器病学会・肝臓学会・消化器がん検診学会合同)
低侵襲な肝疾患診断法の進歩
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タイトル |
消W11-13:ALT正常NAFLDの患者の肝線維化ステージを予測する各種スコアリングシステムの検討肝生検1350症例の多施設検討
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演者 |
米田 正人(横浜市立大・消化器内科) |
共同演者 |
江口 雄一郎(佐賀大・地域医療支援学), 中島 淳(横浜市立大・消化器内科) |
抄録 |
【目的】NASHは日本で100万人罹患しているが,10年間で2割が肝硬変へ進展することが想定され,社会的な問題となっている.しかしながら1000万人のNAFLD患者全員に肝生検を施行することは不可能である.NAFLDの約20%はトランスアミナーゼが正常で推移することが知られているが,日常臨床においてトランスアミナーゼ正常NAFLD例は看過されやすい.今回多施設検討でALT正常NAFLD症例での各種スコアリングシステムの診断能を検討し,また理想的なカットオフ値を再設定した.【方法】Japan Study Group of Nonalcoholic Fatty Liver Disease (JSG-NAFLD)に登録する全国9施設で肝生検を施行した1350例のNAFLD患者を対象とした.ALT40以下の235症例,ALT30以下の127症例を用い,FIB4,NAFLD fibrosis score (NFS),BARDを検討した.【結果】ALT40以下の群では38症例(16.1%)、ALT30以下の群では14症例(11.0%)がStage 3以上であった.ALT40以下の群ではFIB4はカットオフ値1.659,感度89.5%,特異度72.1%,NFSはカットオフ0.735,感度71.1%,特異度90.4%,BARDはカットオフ3点以上,感度66.7 %,特異度62.4 %であった.ALT30以下の群では FIB4はカットオフ値2.425,感度78.6%,特異度87.5%,NFSはカットオフ0.694,感度84.6%,特異度86.5%,BARDはカットオフ3点以上,感度85.7 %,特異度53.4 %であった.【結論】ALTが正常なNAFLD症例でもStage 3以上の線維化進行症例が11-16%存在し、その比率はALT上昇NAFLD例と同等であった.NAFLDの線維化判定のスコアリングシステムで汎用されているFIB4やNFSはALT正常症例でも線維化進行症例の判定に高い診断能を有しており,一方BARDスコアは診断能が低くなることが示唆された.本研究で検討されたカットオフ値を用いることにより,FIB4,NFSをALT正常症例に拡大して使用することが可能であり,線維化進行症例の早期発見が得られる可能性が示唆された. |
索引用語 |
NASH, スコアリングシステム |