セッション情報 |
ワークショップ11(消化器病学会・肝臓学会・消化器がん検診学会合同)
低侵襲な肝疾患診断法の進歩
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タイトル |
肝W11-14:NAFLDの肝線維化診断におけるReal-time tissue elastographyの有用性の検討
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演者 |
越智 裕紀(愛媛大大学院・先端病態制御内科学) |
共同演者 |
広岡 昌史(愛媛大大学院・先端病態制御内科学), 日浅 陽一(愛媛大大学院・先端病態制御内科学) |
抄録 |
NAFLDの予後は肝線維化と相関するため、肝線維化の程度を把握することは、重要である。近年NAFLDに対する肝硬度測定にて、血清学的検査や画像診断など非侵襲的診断方法の有用性が報告されている。肝硬度測定において、演者らはC型慢性肝炎に対してReal-time tissue elastography(以下RTE)の有用性を報告してきた。【目的】RTEによる肝硬度値(elastic ratio)の測定が、NAFLDの肝線維化の有無と程度の評価に有用かどうか検討することを目的とした。【方法】対象は組織学的にNAFLDと診断された症例。超音波診断装置はEUB-7500を使用。2009年1月から2011年11月までに登録した106名をtraining setとしてROIを肝実質および小血管に置き、小血管の歪み値/肝実質の歪み値で得られる値を硬度値(elastic ratio)とした。肝組織における線維化の程度とelastic ratioを比較検討した。またelastic ratioと FIB-4、NASH Fibrosis score、BARD scoreなどの血清学的診断方法で、それぞれROC解析を行い、AUC値を比較検討した。新登録したNAFLD症例75名をvalidation setとして、肝線維化の各段階のcutoff valueについてその診断の正確さを肝生検組織と比較評価した。【結果】Training setは平均年齢は56.0歳。各線維化段階における症例数とelastic ratioの中央値は、F0で34例と2.1、F1で21例と2.4、F2で18例と2.7、F3で20例と3.5、F4で13例と4.3で、肝線維化進行例においてelastic ratioは有意に高値であった (P<0.0001) 。また各線維化段階でのelastic ratioのcutoff valueと正診率は、F2で2.67 と85.3%、F3で3.02と87.8%、F4で3.36と96.5%で、特にF4症例では正診率は高かった。全ての線維化段階でelastic ratioのAUC値は血清学的検査よりも高かった。Validation set (平均年齢62.5歳)を用いた検討では、全ての線維化段階において80%から90%と高い正診率が得られた。【結論】RTEはNAFLD症例の肝線維化を正確に評価可能であった。RTEは非侵襲的なNAFLDの肝線維化の診断に臨床上有用なデバイスとなりうる |
索引用語 |
NAFLD, Real-time tissue elastography |