セッション情報 ワークショップ11(消化器病学会・肝臓学会・消化器がん検診学会合同)

低侵襲な肝疾患診断法の進歩

タイトル 肝W11-15:

Controlled Attenouation Parameter (CAP)による非侵襲的な肝脂肪定量法の検討

演者 斎藤 聡(虎の門病院・肝臓センター)
共同演者 池田 健次(虎の門病院・肝臓センター), 熊田 博光(虎の門病院・肝臓センター)
抄録 【目的】肝組織学的検査としては肝生検がこれまでゴールドスタンダードであり、線維化に関しては各種エラストグラフィーが定着しつつあるが、肝生検ではそれ以外の情報も多い。一方、肝生検は侵襲性が高く、サンプリングエラーもみられ、禁忌症例もあり、すべての症例に繰り返し施行することはできない。今回、非侵襲的な脂肪化定量法として、Controlled Attenouation Parameter (CAP)による肝内の脂肪化定量に関して検討した。【対象と方法】対象はCAPを施行した577症例。年齢は21~95歳(中央値69歳)、男女比は311:266、CAPはFibroScan502のMプローブを使用し、Transient Elastography(TE)による肝硬度(LSM)を同時に測定した。組織学的検討、Bモード画像、CT値、2ポイントDIXON法によるMRIによる脂肪定量(Hepatic fat fraction・HFF)との比較を行った。脂肪肝に分類はMETAVIRスコアに従い、組織脂肪化S0:10%未満、S1:11~33%、S2:34~66%、S3:67%以上とした。【成績】1.正常肝のLSM・CAP値はBMI25未満、肝炎ウィルスマーカー陰性、飲酒量10g.日未満、血液生化学データ正常、Bモード画像正常肝の161例。年齢23歳~95歳(中央値55歳)、男女比63:98で、LSM:3.6kPa(1.8-5.2kPa)、CAP188dB/m(101-238 dB/m)。2.脂肪肝のCAP値はS1:227-267 dB/m、S2:244-324 dB/m、S3:300-338 dB/m。それぞれのカットオフ値とAUROCは、S0/S1で237、0.92、S1/S2で258、0.94、S2/S3で292、0.91。LSMとの間には相関関係はみられなかった。3.問題点と誤差は皮下組織厚2.5cm超の症例では測定困難が90%、脂肪化のない進行したB型肝硬変ではCAP値300 dB/m以上がみられた。4.他のモダリティとの比較:CT値とはr=-0.77、HFFとはr=0.81と相関関係がみられた。【結語】CAPは脂肪肝の定量検査としては他の検査と比較してもおおむね良好な関係が得られ、非侵襲的検査方法として肝生検の代替可能であるが、皮下脂肪の厚い症例では現行プローブでは定量困難例がみられた。
索引用語 CAP, 脂肪化定量