セッション情報 ワークショップ11(消化器病学会・肝臓学会・消化器がん検診学会合同)

低侵襲な肝疾患診断法の進歩

タイトル 肝W11-17:

超音波elastographyによる肝癌の分化度診断と局所治療の評価

演者 平良 淳一(東京医大病院・消化器内科)
共同演者 今井 康晴(東京医大病院・消化器内科), 森安 史典(東京医大病院・消化器内科)
抄録 【目的】近年、組織の硬さを計測し組織性状を診断するElasticity imaging(弾性映像法)が注目を集めている。当科ではElasticity imagingに使用する超音波画像診断装置として定量的に組織弾性をリアルタイムで測定・表示することを可能にしたShearWave Elastography(SWE)を導入している。肝腫瘍に対するElastographyの有用性の報告は未だ少なく、特に肝細胞癌(HCC)の診断や、ラジオ波焼灼療法(RFA)などの局所療法後の治療効果判定に役立つのではと考えており、検討結果を報告する。【方法】対象は2010年7月から2011年12月までの間に当科にて組織学的にHCCと診断(経皮経肝針生検)され、腫瘍弾性係数測定を行った28症例28結節である。男性19例、女性9例、平均年齢69.6±8.7歳(49~84)、平均腫瘍径23.5±16.9mm(7.3~75.0)、背景肝の内訳はHBV2例、HCV15例、アルコール6例、NonB・NonC4例、PBC1例である。【成績】全症例の平均腫瘍弾性係数は22.4±17.2 kPa(2.27~70.57)であり、腫瘍分化度別の平均腫瘍弾性係数は高分化型肝癌(6例)7.5±3.7kPa、中分化型肝癌(17例)20.3±10.4kPa、低分化型肝癌(5例)47.3±20.4kPaと分化度が進行するにつれ腫瘍弾性係数は高値となる傾向にあった(高分化:中分化P=NS、高分化:低分化P<0.001、中分化:低分化P<0.05)。腫瘍径別についても平均腫瘍弾性係数を検討したが、腫瘍径20mm未満24.8±16.9kPa、20mm以上では19.1±17.7kPaと有意な差は認められなかった(P=NS)。また、RFA等の局所治療後に治療部の硬度が上昇することが知られており、数症例にRFA前後で腫瘍弾性係数測定を施行している。いずれもRFA後の焼灼範囲と考えられる部位の弾性係数が上昇し、カラーマップ上、焼灼の中心から放射状に赤から青へと変化する傾向を認めた。【結論】Elastographyは腫瘍の硬さを定量化し可視化することにより肝腫瘍性病変の鑑別や悪性度診断の補助、治療後に組織の硬さが変化することを応用し治療効果判定の一助になる可能性が期待できる。
索引用語 Elastography, HCC