セッション情報 ワークショップ12(肝臓学会・消化器病学会合同)

日常臨床のジレンマ-NASHかASHか?

タイトル 肝W12-6:

定量的形態評価によるアルコール性肝硬変の病態解析

演者 中村 篤志(横浜新緑総合病院・消化器内科)
共同演者 藤澤 信隆(都立広尾病院・消化器内科), 小山 茂(都立広尾病院・消化器内科)
抄録 【目的】デジタル医用画像では人体臓器の形状や質感を数値化し評価することが可能である。従来のアルコール性肝硬変のイメージは肝腫大とるい痩であったが、近年肥満例が増加し病態の変化が予想される。今回アルコール性肝硬変の臨床像をコンピューター(PC)による画像解析で検討した。【方法】対象は肝癌非合併のアルコール性肝硬変58例(男/女:51/7例、平均年齢58.3歳、Child-A/B/C: 14/12/32)と非アルコール性肝硬変27例(ウイルス17、自己免疫4、不明6)である。解析法はCT画像データをPCの画像ソフト(Osirix)で肝容積CTLV(ml)を計測し標準肝容積SLV(ml)=706.2×体表面積(m2)+2.4との比(CT/S-LV)で算出、さらに肝脂肪化の指標の肝/脾CT値(L/S)比を測定した。また内臓脂肪面積からアルコール性肝硬変(n=51)を肥満例(≧100cm2)と非肥満例(<100cm2)に分け比較した。【成績】1)アルコール性肝硬変の形態評価:アルコール群は非アルコール群に比べ肝腫大(CT/S-LV:1.21±0.34 vs. 0.83±0.23, p<0.01)と 肝/脾CT値比の低下(1.04±0.29 vs.1.19±0.10, p<0.05)を認めた。非アルコール群のCT/S-LVはMELDスコアと相関を示したが(r=-0.413, p<0.05)、アルコール群はしなかった。さらに禁酒した12例(平均観察期間23.3M)では肝容積(1567.0→1198.7)とL/S比(0.98→1.2)に有意な変化を認めた(p<0.05)。2)肥満の有無による差異:アルコール性肝硬変の45%に肥満の合併を認め非肥満例とは男女比と平均年齢に差はなく、重症度別ではChild-A/Bの肥満率58%、Cで35%と減少傾向を示した(p=0.09)。画像所見は肝容積、CT/S-LV、L/S比に両者差はなく、非肥満例で肝容積とL/S比が負の相関(r=-0.607, p<0.001)を示したのに対し肥満例ではなかった。【結論】アルコール性肝硬変の45%に肥満の合併を認めた。画像解析から肝容積の増加にはアルコールによる代謝因子が関与する可能性があり、肥満合併例では非肥満例と異なる機序が推測された。
索引用語 アルコール性肝硬変, 肥満