セッション情報 |
ワークショップ12(肝臓学会・消化器病学会合同)
日常臨床のジレンマ-NASHかASHか?
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タイトル |
肝W12-7:アルコール性肝障害における生活習慣病合併の影響に関する検討
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演者 |
戸張 真紀(東京女子医大・消化器内科) |
共同演者 |
谷合 麻紀子(東京女子医大・消化器内科), 橋本 悦子(東京女子医大・消化器内科) |
抄録 |
【目的】飽食の時代を迎えたわが国では生活習慣病の有病率が増加し、アルコール性肝障害(ALD)にも合併しその病態を修飾すると考えられる。また、生活習慣病の病態は性・年齢で大きく異なる。そこで今回、生活習慣病がアルコール性肝障害(ALD)の病態に及ぼす影響を性差の影響を踏まえ明らかにすることを目的とした。【対象と方法】当科で1987年から2011年に臨床病理学的にALDと診断された514例のうち、飲酒量の詳細な検討が可能な入院加療例420例(女性55例、男性365例)を対象とした。以下1)、2)に関して、cross-sectional studyを施行した;検討1)ALDの性別、積算飲酒量別 (t/bodyで0.5未満/0.5~1/1~1.5/1.5~2/2以上) に群別した生活習慣病の合併率の検討、検討2)ALDにおける全例および積算飲酒量で層別した肝硬変の有無に関するロジスティック解析。【成績】検討1) 男女別解析では、年齢(中央値) 女性47歳/男性59歳、積算飲酒量(中央値)女性0.7 t/body /男性1.3 t/body、BMI女性21 kg/m2/男性23 kg/m2、肥満(BMI≧25)合併 女性11%/男性27%、II型糖尿病(DM)女性11%/男性40%、高血圧(HTN)女性15%/男性29%、脂質異常症(DL)女性33%/男性22%で、女性は男性より若年で有意に積算飲酒量が少なく、年齢の影響も加わり肥満・DMの合併が少なかった。積算飲酒量別解析では、女性では生活習慣病合併と積算飲酒量に明らかな傾向はなく、男性ではDM合併率は積算飲酒量の増加に伴い有意に増加し、肥満・HTNは明らかな傾向はなく、DLは最少積算飲酒量群で有意に合併率が高かった。検討2) ALD全例での肝硬変の有無別多変量ロジスティック解析では、積算飲酒量(Odds比1.822)・DM (Odds比1.674)・DL (Odds比0.268)・肥満(Odds比0.322)が肝硬変合併に関与する有意因子であった。積算飲酒量で層別した肝硬変の有無別解析では、一貫して肥満が負の因子として抽出された。【結論】ALDにおいて、肥満は肝硬変合併に関与する負の因子であった。 |
索引用語 |
アルコール性肝障害, 生活習慣病 |