セッション情報 |
ワークショップ13(消化器内視鏡学会・消化器病学会・消化器外科学会合同)
高齢者上部消化管出血における止血治療戦略-静脈瘤を除く
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タイトル |
内W13-1:当院にて内視鏡的止血処置を行った高齢者上部消化管出血症例の臨床的検討
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演者 |
西俣 伸亮(南風病院・消化器内科) |
共同演者 |
島岡 俊治(南風病院・消化器内科), 松田 彰郎(南風病院・消化器内科) |
抄録 |
【目的】当院で上部消化管出血に対して内視鏡的止血術を行った症例について高齢者と非高齢者との比較により臨床的検討を行った。【方法】2007年1月から2011年12月の5年間に当院で施行した上部消化管内視鏡検査36424例中、非静脈瘤性上部消化管出血に対して内視鏡的治療を要した366例を対象とし、これを70歳以上(A群204例)と70歳未満(B群162例)とに分け、それらの臨床的背景、治療法、治療成績等について臨床的検討を行った。【成績】A群の平均年齢は78.8歳で男性132例、女性72例、B群の平均年齢は60.6歳で男性116例、女性46例であった。基礎疾患に維持透析中の患者(HD)はA群B群でそれぞれ20例、38例だった。術前服薬歴でNSAIDsまたは抗血栓療法薬内服患者(内服例)はそれぞれA群で51例、93例、B群で26例、34例であった。当科では患者の全身状態や貧血の程度に応じて主治医判断で輸血を行い、かつ全例年齢と体重に応じて鎮静剤投与、モニタリング内視鏡を施行している。その疾患の内訳はA群、B群共に胃潰瘍、十二指腸潰瘍、Mallory-Weiss症候群の順であった。複数回の止血術を要した例はA群38例(HD4例、内服例24例)、B群24例(HD14例、内服例10例)で、止血目的の手術移行例はそれぞれ1例ずつでA群は術後の再出血により死亡となった。また、治療後30日以内の死亡数はA群、B群でそれぞれ15例、10例であったが、そのうち失血関連死はA群、B群でそれぞれ5例(HD3例、内服例5例)、3例(HD1例、内服例1例)でありB群は胃潰瘍が2例、十二指腸潰瘍が1例であったのに対しA群は5例全て十二指腸潰瘍だった。【結論】今回の検討から、術前及び術中の全身管理を十分行うことで高齢者上部消化管出血においての内視鏡的止血術は非高齢者と比較してもほぼ同様の治療成績であった。また、高齢者においてはNSAIDsないし抗血栓療法薬内服中で出血性十二指腸潰瘍及びHD中で複数回止血術を要した症例では非高齢者と比し重篤化する傾向にあり術中・術後の管理が重要であると考えられた。 |
索引用語 |
高齢者, 上部消化管出血 |