セッション情報 ワークショップ13(消化器内視鏡学会・消化器病学会・消化器外科学会合同)

高齢者上部消化管出血における止血治療戦略-静脈瘤を除く

タイトル 内W13-2:

超高齢者出血性胃潰瘍に対する内視鏡止血

演者 白井 告(帝京大附属病院・内科)
共同演者 石井 太郎(帝京大附属病院・内科), 久山 泰(帝京大附属病院・内科)
抄録 【目的】高齢者の出血性胃潰瘍は近年の高齢化に伴い増加してきている。当院当科における出血性胃潰瘍症例に関して、85歳以上の超高齢者に対する内視鏡治療成績を、84歳以下の治療成績と比較検討した。【方法】2005年1月1日から2011年12月31日までに、当科において出血性胃潰瘍に対し内視鏡治療を施行した337症例(男性254例、女性83例、平均年齢63.1歳)を対象とし、NSAIDs、抗血小板薬、抗凝固薬の服用状況、Helicobacter pyloriの感染率、一次止血率、再出血率に関して85歳以上の超高齢者と84歳以下で比較検討した。【成績】85歳以上の超高齢者は17例、84歳以下は320例であった。NSAIDs、抗血小板薬、抗凝固薬を服用していた割合が最も多かったのは、男女とも75~84歳の後期高齢者であったが、超高齢者の服用も多かった。超高齢者におけるHelicobacter pyloriの感染率は、84歳以下に比べ低率であった。出血形態は超高齢者ではForrestIaが3例17.7%、Ibが6例35.2%、IIaが8例47.1%であり、84歳以下ではForrestIaが40例12.5%、Ibが77例24.1%、IIaが203例63.4であった。一次止血率は超高齢者と84歳以下共に100%であり、Iaも止血されていた。再出血は超高齢者では認めず、84歳以下では4例1.3%でみられた。再出血例4例は全てIVRにて止血された。内視鏡治療に伴う合併症は超高齢者と84歳以下共に認めなかった。【結論】超高齢者における出血性胃潰瘍の一次止血率は100%であり、再出血例もなく、内視鏡治療による合併症も認めなかった。超高齢者であっても、出血性胃潰瘍では内視鏡治療を第一選択に行うべきであると考えられた。
索引用語 高齢者, 出血性胃潰瘍