セッション情報 一般演題

タイトル O-30:

幽門側胃切除後の十二指腸潰瘍に合併した十二指腸結腸瘻の1例

演者 澤口 昌亨(秋田大学 医学部附属病院 消化器内科)
共同演者 神 万里夫(秋田大学 医学部附属病院 消化器内科), 松橋  保(秋田大学 医学部附属病院 消化器内科), 大場 麗奈(秋田大学 医学部附属病院 消化器内科), 畠山 夏美(秋田大学 医学部附属病院 消化器内科), 片岡 仁子(秋田大学 医学部附属病院 消化器内科), 小泉 重仁(秋田大学 医学部附属病院 消化器内科), 小野地 研吾(秋田大学 医学部附属病院 消化器内科), 木村 有香(秋田大学 医学部附属病院 消化器内科), 山田 由美(秋田大学 医学部附属病院 消化器内科), 俵谷 伸(秋田大学 医学部附属病院 消化器内科), 渡部 昇(秋田大学 医学部附属病院 消化器内科), 打波 宇(秋田大学 医学部附属病院 消化器外科), 高橋 智和(秋田大学 医学部附属病院 消化器外科), 阿部 ゆき(秋田大学 医学部附属病院 消化器外科), 山本 雄造(秋田大学 医学部附属病院 消化器外科), 真嶋 浩聡(秋田大学 医学部附属病院 消化器内科), 大西 洋英(秋田大学 医学部附属病院 消化器内科)
抄録 【はじめに】十二指腸結腸瘻は消化器疾患の中でも比較的稀な合併症である.今日では悪性腫瘍や炎症性腸疾患が原疾患のほとんどであり,H2 blockerやproton pump inhibitorといった制酸剤の登場以来,消化性潰瘍に合併した報告は少ない.今回われわれは,胃切除Billroth I(B-I)法再建後の十二指腸潰瘍に合併した十二指腸結腸瘻の1例を経験したので報告する.【症例】51歳,男性.【主訴】下痢.【既往歴】18歳:自然気胸,21歳:十二指腸潰瘍穿孔のため幽門側胃切除B-I法再建術.【現病歴】2011年8月より5-6回/日の下痢が出現し始め,10月から脱毛がみられた.2012年2月からは味覚異常,全身倦怠感を自覚し近医受診.血液検査でZn低値を指摘され,投薬を受けるも症状の改善なく,次第に全身浮腫が著明となり3月当科初診.【経過】初診時,顔面と四肢に浮腫があり,TP 5.5g/dl,Alb 2.9g/dl,Zn 59 Eq/lと低蛋白血症,Zn低値を認めた.上下部消化管内視鏡検査は,いずれも前処置が不良であり詳細な観察は困難であった.胃透視検査にて残胃に続いて十二指腸と結腸を思わせる腸管が造影され,吻合部結腸間に瘻孔形成が疑われた.検査前日を低残渣食にして改めて透視下上部消化管内視鏡検査を施行.十二指腸近位部に横行結腸と交通する瘻孔が確認され,十二指腸結腸瘻と診断した.一連の症状はこの瘻孔に伴う吸収不良が原因と考えられ,後日外科的に瘻孔切除術を施行した.その後,諸症状は徐々に改善し,現在当科通院中である.【結語】消化性十二指腸潰瘍穿通に伴う十二指腸結腸瘻の1例を経験した.医学中央雑誌で“十二指腸結腸瘻,消化性潰瘍”をkey wordに検索する限り,過去30年間で胃切除B-I法再建後に合併した報告は自験例含め2例のみである.消化性潰瘍は制酸剤による内科的治療が主体の今日,潰瘍穿通に伴う十二指腸結腸瘻の合併は稀少であるため,若干の文献的考察を交え報告する.
索引用語 十二指腸結腸瘻, 消化性潰瘍