セッション情報 一般演題

タイトル O-04:

当科で経験した虚血性腸炎の臨床的検討

演者 田口 朋(岩手県立中央病院 消化器科)
共同演者 池端 敦(岩手県立中央病院 消化器科), 高橋 健太(岩手県立中央病院 消化器科), 大浦 翔子(岩手県立中央病院 消化器科), 高橋 健一(岩手県立中央病院 消化器科), 横山 信直(岩手県立中央病院 消化器科), 大方 英樹(岩手県立中央病院 消化器科), 松本 信(岩手県立中央病院 消化器科), 三浦 真奈美(岩手県立中央病院 消化器科), 高橋 太郎(岩手県立中央病院 消化器科), 金澤 義丈(岩手県立中央病院 消化器科), 小原 範之(岩手県立中央病院 消化器科), 城戸 治(岩手県立中央病院 消化器科), 臼田 昌弘(岩手県立中央病院 消化器外科), 鈴木 洋(岩手県立中央病院 消化器外科), 小野 貞英(岩手県立中央病院 病理診断科), 村上 晶彦(岩手県立中央病院 内視鏡科), 天野 良彦(岩手県立中央病院 内視鏡科)
抄録 【背景】虚血性腸炎は突然の腹痛,下痢,血便を主徴とし,下部消化管出血の原因疾患として遭遇することも多い.保存的治療で軽快する一過性型が大半を占めるが,一部の狭窄型では通過障害で手術適応となり,また腸管壊死に陥った場合は緊急手術を要する.【目的・方法】虚血性腸炎の臨床的特徴を明らかにすることを目的とした.過去2年間に当科で経験した虚血性腸炎は69例(初発66例,再発3例)であり,緊急内視鏡検査を施行した下部消化管出血217例の31.8%を占めた.症例の臨床背景,治療成績,予後などについて検討した.【結果】一過性型65例,狭窄型2例,壊死型2例であった.年齢は中央値72歳(28-94歳)で,男性22例,女性47例であった.高血圧,糖尿病などの動脈硬化関連疾患は26例(37.7%)で,腹部手術歴は16例(23.2%)にみられた.抗血栓剤の服用者は9例(13.3%)であった.内視鏡検査前のCTは32例に施行され,腸壁肥厚などの診断に有用な所見は22例(68.8%)にみられた.輸血は4例(5.8%)に施行され,期間内の再発は3例(17.8 %)にみられた.手術は狭窄型2例,壊死型2例に施行された.死亡は1例で不整脈死であった.【手術例】患者1:70歳代,男性.狭窄型.高血圧にて治療中. 発症後は中心静脈栄養管理としたが,症状が持続することから発症6週後に手術となった.患者2:80歳代,男性.狭窄型.直腸癌にて手術の既往あり.関節リウマチ,糖尿病,肺気腫にて治療中.7ヵ月前に虚血性腸炎と診断,その後も腹痛が持続.腸管狭窄のため発症8ヵ月で手術となった.患者3:70歳代.女性.壊死型.虫垂炎,脳梗塞の既往あり.アスピリン,降圧剤服用中.内視鏡で粘膜の暗赤色調の変化あり.発症2日後,腹痛増強にて緊急手術となった.患者4:80歳代,女性.壊死型.既往歴なし.1週間前より下痢が続き受診.内視鏡で浮腫,粘膜色調変化あり.腹痛増強にて2日後緊急手術,術後に脳梗塞発症.【結語】虚血性腸炎の多くの症例は予後良好である.高齢者では症状に乏しい場合もあり,壊死型に移行したり他の血栓症を合併することもあり注意が必要である.
索引用語 虚血性腸炎, 手術