セッション情報 | 一般演題 |
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タイトル | O-106:大腸癌と鑑別を要した腸間膜脂肪織炎の1例 |
演者 | 西牧 宏泰(岩手県立中央病院 消化器科) |
共同演者 | 池端 敦(岩手県立中央病院 消化器科), 大浦 翔子(岩手県立中央病院 消化器科), 高橋 健太(岩手県立中央病院 消化器科), 小玉 祐(岩手県立中央病院 消化器科), 高橋 健一(岩手県立中央病院 消化器科), 横山 直信(岩手県立中央病院 消化器科), 大方 英樹(岩手県立中央病院 消化器科), 松本 信(岩手県立中央病院 消化器科), 高橋 太郎(岩手県立中央病院 消化器科), 三浦 真奈美(岩手県立中央病院 消化器科), 金澤 義丈(岩手県立中央病院 消化器科), 小原 範之(岩手県立中央病院 消化器科), 城戸 治(岩手県立中央病院 消化器科), 小野 貞英(岩手県立中央病院 病理診断科), 村上 晶彦(岩手県立中央病院 内視鏡科), 天野 良彦(岩手県立中央病院 内視鏡科) |
抄録 | 腸間膜脂肪織炎は腸間膜に生じる原因不明の非特異的炎症性疾患であり,脂肪過剰蓄積と変性壊死により多彩な臨床経過がみられる.原因や治療に関しては諸説あるがいまだ確立されていない.今回,大腸癌との鑑別を要した1例を経験したので報告する.【症例】60歳代,男性.主訴:体重減少.家族歴:とくになし.既往歴:糖尿病.2年前,前立腺癌で手術をうけた.現病歴:糖尿病にて他院で治療をうけていたが,2ヵ月で5kgの体重減少がみられた.腹部USにて心窩部に腫瘤を指摘され当科紹介となった.身長155cm,体重45kg,37.0度.血液検査ではWBC9650,CRP0.92と炎症反応がみられたが腫瘍マーカーCEA,CA19-9は正常範囲であった.CTでは横行結腸の全周性の壁肥厚,周囲軟部組織濃度の不均一な造影効果がみられた.下部内視鏡検査では横行結腸に粘膜の浮腫性変化および内腔の狭小化がみられた.生検では粘膜層に炎症性細胞浸潤がみられたが悪性所見はみられなかった.注腸造影では同部で母指圧痕像,横走する均一な襞,transverse ridgingがみられた.PETでは胃と横行結腸の間にSUV3.4の集積がみられたが結腸壁に一致する集積はみられなかった.上部内視鏡では萎縮性胃炎の所見であった.CT,PET,注腸造影の画像所見から腸間膜脂肪織炎が強く疑われた.腹痛や通過障害などの症状はみられないため,現在外来で経過観察中である.【考察】腸間膜脂肪織炎の確定診断は試験開腹および生検による組織診断である.病理学的に脂肪織の変性,リンパ球や形質細胞などの細胞浸潤や脂肪を貪食した組織球である泡沫細胞などが重要な所見である.本疾患では一般的に予後良好で一過性の経過をとることが多く,自然治癒する症例もあるため,保存的治療での経過観察が有効とされている.本例では悪性腫瘍との鑑別は要するものの,特に症状もないため厳重なfollow-up をしながらの経過観察を第一選択とした.【結語】大腸癌との鑑別を要し画像所見から腸間膜脂肪織炎と考えられた1例を経験した. |
索引用語 | 腸間膜脂肪織炎, transverse ridging |