セッション情報 シンポジウム「B型肝炎治療の工夫」

タイトル S-10:

ETV-IFN Sequential療法中における経時的免疫解析

演者  近藤 泰輝(東北大学病院 消化器内科)
共同演者 岩田 朋晃(東北大学病院 消化器内科), 下瀬川 徹(東北大学病院 消化器内科)
抄録 【背景】B型肝炎ウイルスのコントロールには自然免疫機構、獲得免疫機構が重要な役割を果たしている。我々はウイルス量や抗原量とこれら反応について報告してきた。(JMV2004, Liver Int.2004, WJG2006, JID2010,JG2012)【目的】慢性B型肝炎(CH-B)の免疫抑制機序解析、核酸アナログ治療におけるHBV特異的CTL, Tregs反応の経時的解析結果を詳細に再検討し、ETV-IFN Sequential 療法を施行した際の免疫動態を解析する。【方法】A. 核酸アナログ治療経過におけるHBV特異的CTL細胞頻度解析を5種類のHLA-A24特異的MHC-Tetramerを用いて施行した。B. 核酸アナログ治療経過におけるTregsの頻度解析と細胞表面のTLR2発現をCD4, CD25, IL7R, TLR2 抗体を用いて解析した。C.MACS cytokine secretion assayを用いてHBcAg, HBsAg, HBeAg特異的IFN-γ, IL10産生細胞頻度解析をETV-IFN Sequential療法を施行した6例(IFNα投与3例、Peg-IFNα投与3例)について経時的に解析した。HLA-A24陽性患者は HBV Core117-125, Pol756-764MHC-TetramerにてCTLを測定した。Tregs, NK cells,T cells等各種免疫細胞サブセット解析を施行した。 【結果】A. HBVウイルス量減少とともにHBV特異的CTL頻度は上昇した。急性肝炎改善症例と比較してCTLのIFN-γ産生細胞頻度は比較的保たれていたが、パーフォリン産生細胞頻度は減少していた。B. HBcAg特異的IL10産生はCH-B患者で顕著にみられたが、この産生細胞はTregsであることが明らかとなった。またHBVウイルスの減少とともに過剰な免疫抑制能が解除されることも明らかとなった。C. A.Bの結果を踏まえてHBcAg, HBsAg, HBeAg刺激にて産生されるIFN-γ IL10産生細胞をFACS Canto-IIにて評価することによりETV-IFN Sequential療法を施行した際の免疫動態を評価した。IFN治療を開始すると1ヶ月後にはIFN-γ産生細胞が有意に上昇し、IL10産生細胞は低下した。(p<0.05) 長期経過良好群でIFN-γ産生の上昇が持続する傾向がみられた。【考察】ETV-IFNの反応性をHBcAg特異的IL10, IFN-γ secretion assayにて予測出来る可能性が示された。
索引用語 HBV, T細胞