セッション情報 シンポジウム「B型肝炎治療の工夫」

タイトル S-01:

当院におけるB型肝疾患に対する核酸アナログ製剤治療の現状と工夫

演者 渡辺 大亮(能代山本医師会病院)
共同演者 住吉 明子(能代山本医師会病院)
抄録 【目的】当院におけるB型肝疾患に対する核酸アナログ製剤(NA)治療の現状と治療中における工夫について報告する。【対象と方法】2008年4月から当院にてB型肝疾患として加療中の45人のうち、現在NAを用いて治療施行中の16例(男/女10/6)、平均年齢59.8才を対象とした。背景肝は慢性肝炎15例、肝硬変1例、無症候性キャリア0例であった。治療開始時におけるHBs抗原量は全例100以上、HBVDNA量は平均6.3logIU/ml、遺伝子型別ではgenotype A/B/C,0/7/9例、セロコンバージョンは有/無,3/13例、PC変異例は9例、CP変異は8例であった。治療開始時のNAはエンテカビル(ETV)が14例、ラミブジン(LAM)が2例であった。今回我々はNA投与によるその後のウイルス減少効果に対し検討を行った。またNA投与中に十分なウイルス減少効果が認められない場合は、工夫として耐性株を確認し、投与薬剤の変更を行った。【結果】NAの投与によりHBs抗原量は3例で100以下まで低下した。またHBVDNA量は遺伝子型別に関係無く、平均1.1logIU/mlまで低下した。LAM2例においてはどちらもLAM耐性株が認められた。その後LAM、アデフォビル(ADV)の併用療法に変更することにより、2例ともウイルス減少効果が認められた。HBs抗原量に関しては現在、100以上が13例、100未満が3例で認めたが、陰性化例は認めなかった。HBs抗原量が100未満に関してはいずれ中止も視野に経過を診ている。また肝硬変症例でNA投与中に1例で発癌を認め、途中で手術を行った。他に明らかな副作用等認めず、全例で治療継続中である。【結論】NA投与により遺伝子型に関わらず、良好なウイルス減少効果が認められた。NA投与後もウイルス減少効果が認められない時は耐性株の確認が必要と思われた。またHBs抗原量を測定することにより、NAを継続、中止を検討することが可能になると思われた。
索引用語 B型肝炎, 核酸アナログ