セッション情報 一般演題

タイトル O-65:

下部直腸癌に対する内肛門括約筋切除術と超低位前方切除術の術後排便機能

演者 舟山 裕士(東北労災病院 大腸肛門病センター)
共同演者 高橋 賢一(東北労災病院 大腸肛門病センター), 生澤 史江(東北労災病院 大腸肛門病センター), 武者 宏昭(東北労災病院 外科), 西條 文人(東北労災病院 外科), 武藤 満完(東北労災病院 外科), 松村 直樹(東北労災病院 外科), 鈴木 洋(東北労災病院 外科), 安本 明浩(東北労災病院 外科), 又吉 信貴(東北労災病院 外科), 澤田 健太郎(東北労災病院 外科), 柴原 みい(東北労災病院 外科)
抄録 下部直腸癌に対する自然肛門温存術の手術成績特に排便機能について検討するために、術後定期的に排便状況の調査をおこなった.【対象・方法】2007年7月以降に、内肛門括約筋切除術(ISR)をおこなった21例、超低前方切除術(SLAR)をおこなった31例を対象として、術後、排便回数、Kirwan分類、Wexner scoreについて術後(ストーマ造設例では、閉鎖術術後)の排便機能の評価を行った.【症例の概要】性差(M:F)は、ISR、SLARでそれぞれ15:6、 19:12、年令は、61.4(31.8-82.0)才、64.0(30.2-85.7)才、術後経過期間は、26.1(1-62)ヵ月、20.1(1-56)ヵ月と差はなかった.側方郭清はISRでは10例に、SLARでは28例におこない、転移巣に対する手術をISRでは肝切除1例、肝マイクロ波凝固療法1例、SLARでは肺切除を1例におこなっている. ISRは全例partialISRで、手縫い端々吻合、SLARはDSTによる端々吻合を行った.Diverting ileostomyは、ISRでは全例に、SLARでは15例に造設した.腹腔鏡下手術は、ISR、SLAR各々4例に施行した.fStage(O,I,II,IIIa,IIIb,IV)は、それぞれ1:11:1:4:2:2と0:12:6:9:3:1であった.【手術成績】術後合併症は、ISRで、吻合部狭窄1例、虚血による吻合部瘻孔1例、腸閉塞1例、出血1例、SLARでは、縫合不全1例、虚血性腸炎1例がみられた.自殺1例を除いて全例生存中で、ISRでは、術後肺転移1例、肺、LN転移1例、肝転移1例(肝切除施行)がみられ、SLARでは、1例に肺転移が見られた.【排便機能評価】一日排便回数(中央値)はISRでは、術後3か月で7回、6か月で6回、12か月で4.5回であり、SLARでは6回、5回、4回と漸減したが差はなかった.Kirwan分類(数値化した中央値)では、ISRが2点、1.5点、1.0点、SLARが2.0点、1.0点、1.0点と次第に改善した.Wexner scoreは、ISRは、術後13.0、8.5,8.0、SLARでは、12.0、8.0、5.5とそれぞれ低下した.SLARとISRとの間には有意差は認められなかった.【まとめ】ISRは、排便機能においてもSLARと遜色なく下部直腸癌の術式として用いうるものと考えられた.
索引用語 直腸癌, 機能