セッション情報 一般演題

タイトル O-43:

十二指腸下行脚に発生したブルンネル腺関連隆起性病変の2例

演者 鳥谷 洋右(岩手医科大学 内科学講座 消化器肝臓内科学分野)
共同演者 遠藤 昌樹(岩手医科大学 内科学講座 消化器肝臓内科学分野), 松田 望(岩手医科大学 内科学講座 消化器肝臓内科学分野), 水谷 友美(岩手医科大学 内科学講座 消化器肝臓内科学分野), 佐藤 邦彦(岩手医科大学 内科学講座 消化器肝臓内科学分野), 小坂 崇(岩手医科大学 内科学講座 消化器肝臓内科学分野), 春日井 聡(岩手医科大学 内科学講座 消化器肝臓内科学分野), 柴田 將(岩手医科大学 内科学講座 消化器肝臓内科学分野), 安孫子 幸人(岩手医科大学 内科学講座 消化器肝臓内科学分野), 小穴 修平(岩手医科大学 内科学講座 消化器肝臓内科学分野), 廣田 茂(岩手医科大学 内科学講座 消化器肝臓内科学分野), 千葉 俊美(岩手医科大学 内科学講座 消化器肝臓内科学分野), 鈴木 一幸(岩手医科大学 内科学講座 消化器肝臓内科学分野), 織笠 俊輔(岩手医科大学 病理学講座 分子診断病理学分野), 上杉 憲幸(岩手医科大学 病理学講座 分子診断病理学分野), 菅井 有(岩手医科大学 病理学講座 分子診断病理学分野)
抄録 【症例1】68歳,女性.【主訴】めまい.【現病歴】2012年1月にめまいにて前医受診.Hb4.9mg/dlと著明な貧血を認めたため,上部消化管内視鏡(EGD)を施行された.十二指腸下行脚に有茎性腫瘍を認め,精査加療目的に当科紹介受診となった.【経過】EGDでは十二指腸下行脚に約3cm大の有茎性腫瘍を認め基部は正常粘膜に覆われているが頂部は粘膜が脱落していた. CTでは十二指腸下行脚に境界明瞭,辺縁平滑な造影効果のある粘膜下腫瘍を認めた.出血源と考えEMRを施行した.病理組織は胞巣状に増殖し、一部嚢胞状に拡張したBrunner腺を認めBrunner腺過形成の診断であった.【症例2】77歳,男性.【主訴】十二指腸精査目的.【現病歴】2012年4月かかりつけ医でのスクリーニングEGDで十二指腸下行脚に隆起性病変を認め,精査目的に当科紹介受診となった.【経過】CTでは十二指腸乳頭部付近に2cm大の腫瘤性病変を認めた.EGDで十二指腸下行脚に双頭状の隆起性病変を認め口側に数か所,粘液開口部を認めBrunner腺関連の病変が疑われた.拡大内視鏡では口側の隆起は周囲の絨毛類似の表面構造であったが肛門側では,大小不同の葉状・指状の表面構造を呈した.確定診断および治療目的にEMRを施行した.病理組織は胞巣状,乳頭上に増殖し一部嚢胞状に拡張したBrunner腺に加え,組織学的異型度の異なる部位が認められ,Brunner腺腺腫の診断であった.【考察】従来Brunner腺腫と過形成は同義語として診断されることが多く,本来の腫瘍とは異なる病態も含まれていた.しかしながら粘膜深層や下層から発生するため生検や表面構造からは診断が困難である.腫瘍径は2症例に差はないが症例2では粘膜筋板が途絶し腫瘍化したBrunner腺が表面に露出する部位や開口部を形成し膨張発育する像が観察され過形成とは異なる鑑別点と考えた. 【結語】Brunner腺関連の2例を比較し報告した.過形成と腫瘍との鑑別を考える上で一助になりえると考える.
索引用語 十二指腸, Brunnner腺