セッション情報 一般演題

タイトル O-74:

十二指腸悪性リンパ腫化学療法後に胆管十二指腸瘻を併発した1例

演者 吉田 健太(弘前市立病院 内科DELIMITER弘前大学大学院医学研究科 消化器血液内科学講座)
共同演者 坂本 十一(弘前市立病院 内科), 明本 由衣(弘前市立病院 内科), 飯野 勢(弘前市立病院 内科DELIMITER弘前大学大学院医学研究科 消化器血液内科学講座), 清野 祐輔(弘前市立病院 内科), 相原 智之(弘前市立病院 内科), 田中 光(弘前市立病院 内科), 山形 亮(弘前市立病院 内科), 中畑 久(弘前市立病院 内科), 東野 博(弘前市立病院 内科), 田中 正則(弘前市立病院 臨床検査科), 小山 隆男(西北中央病院 第一内科), 高橋 敏之(西北中央病院 第一内科), 高杉 滝夫(西北中央病院 第一内科), 福田 眞作(弘前大学大学院医学研究科 消化器血液内科学講座)
抄録 【症例】50歳代、男性【主訴】繰り返す発熱・黄疸【既往歴】悪性リンパ腫(H22年)、糖尿病【現病歴】H22年1月、黄疸で近医を受診。腹部超音波検査と腹部CT検査にて、胆管の拡張と十二指腸の軽度壁肥厚を認めた。上部消化管内視鏡検査では、十二指腸下行脚を中心に全周性の潰瘍形成を認めた。同部位からの生検では、幼弱なリンパ球を認め、腫瘍性変化を否定できなかった。病変周囲のリンパ節腫大、可溶性IL-2受容体高値も認め、十二指腸悪性リンパ腫の疑いとなり、THP-COP療法を8コース施行、十二指腸の病変は内視鏡上、改善を認めた。その後、急性胆管炎で同院入院歴あり、抗生剤投与等により軽快していた。H24年5月31日に、発熱と黄疸を繰り返すということで、当科初診。血液検査で肝胆道系酵素高値を認め、腹部超音波検査・CT検査では、膵頭部周囲のリンパ節腫大、胆管拡張とpeumobiliaを認めた。6月11日に精査・加療目的に当科入院。6月14日にERCPを施行、Vater乳頭に胆管開口部は見つからず、その肛門側に胆汁流出を認める瘻孔を確認した。瘻孔からカニュレーションし造影したところ、膵管と胆管が描出され、胆管十二指腸瘻と診断した。胆管内には明らかな腫瘍や結石を認めなかった。瘻孔部分から本来の胆管へつながる交通枝は非常に細く屈曲している状態にあり、繰り返す胆管炎の原因と考えた。7月12日に同瘻孔にESTを施行し、ERBDチューブを留置した。その後は、発熱や肝胆道系酵素上昇は認めず、CT検査でも胆管拡張とpeumobilia の改善を認めた。外来での加療継続の方針とし、7月21日に退院となった。その後は外来に通院しているが、経過は良好である。【考察】胆道十二指腸瘻は90%以上が胆石症に起因するもので、悪性腫瘍に伴うものは4%と稀であり、中でも悪性リンパ腫に伴うものの報告は見当たらない。今回、十二指腸悪性リンパ腫化学療法後に胆管十二指腸瘻を併発した症例を経験したので、若干の文献的考察を加え報告する。
索引用語 胆管十二指腸瘻, 悪性リンパ腫