セッション情報 特別企画 後期研修医(卒後3-6年)

タイトル W-14:

若年発症のBudd-Chiari症候群の一例

演者 五十嵐 剛(弘前大学 大学院医学研究科 消化器血液内学講座)
共同演者 澤田  直也(弘前大学 大学院医学研究科 消化器血液内学講座), 三上  健一郎(弘前大学 大学院医学研究科 消化器血液内学講座), 遠藤 哲(弘前大学 大学院医学研究科 消化器血液内学講座), 坂本 十一(弘前市立病院 内科), 福田 眞作(弘前大学 大学院医学研究科 消化器血液内学講座)
抄録 症例は16歳女性。腹部膨満を訴え前医受診。肋弓下に10 cmを超える固い肝臓を触知し、腹水も認めた。血液検査上でも、AST 388 IU/l、ALT 904 IU/l、T-bil 2.90 mg/dl、PT活性35.7 %、HPT 37 %と肝機能障害を認めたため、急性肝不全として当科転院となった。超音波・CT・MRIにて、尾状葉を中心とした骨盤まで及ぶ肝腫大と、肝内下大静脈の膜様狭窄、副肝静脈以外の肝静脈の閉塞が疑われ、Budd-Chiari症候群(以下BCS)と考えられた。血液疾患や経口避妊剤の使用、妊娠出産、腹腔内感染、血管炎などの血栓を生じやすいような疾患は認められなかった。第3病日、下大静脈造影・肝静脈造影を行い、肝内下大静脈の狭窄を認めた。右肝静脈は末梢側に閉塞を認め、ウロキナーゼを注入し開存を得た。左肝静脈に対しては、起始部を疑う部位にウロキナーゼを注入したが前後で変化はく、中肝静脈については開存が見られたため、処置はしなかった。同日より、血栓溶解および今後の予防目的に、ダナパロイドナトリウムを開始。腹水についてはアルブミン・利尿薬・肝不全用アミノ酸製剤を使用し、徐々に減少した。上部消化管内視鏡検査では、食道静脈瘤(F1,Cw,RC0)と門脈圧亢進症性胃症が認められた。画像検査上は肝サイズや肝静脈の描出の明らかな改善は認められないものの、血液検査上、肝機能障害は改善傾向にあり、ダナパロイドナトリウムをワルファリンへ変更し、第64病日当科退院となった。BCSは、肝静脈の主幹あるいは肝部下大静脈の閉塞や狭窄により肝後性の門脈圧亢進症を引き起こす症候群である。有病率は、人口100万人当たり2.4人と極めて少なく、男女比は1.6:1で、平均発症年齢は47歳である。多くの場合は無症状に発症し、次第に門脈圧亢進症に伴う症状が出現する比較的予後良好な疾患と考えられているが、下大静脈閉塞などに対して根治術が困難な症例では肝不全が進行し予後不良な症例も存在する。今回我々は若年発症のBCSの1例を経験したので、若干の文献的考察を加えて報告する。   
索引用語 肝部下大静脈の閉塞, 門脈圧亢進