セッション情報 ワークショップ「胆膵疾患診療のup to date」

タイトル WS-01:

胆膵領域のIgG4関連疾患11例の検討

演者 高橋 健一(岩手県立中央病院 消化器科)
共同演者 池端 敦(岩手県立中央病院 消化器科), 大方 英樹(岩手県立中央病院 消化器科), 横山 直信(岩手県立中央病院 消化器科), 松本 信(岩手県立中央病院 消化器科), 高橋 太郎(岩手県立中央病院 消化器科), 三浦 真奈美(岩手県立中央病院 消化器科), 小原 範之(岩手県立中央病院 消化器科), 城戸 治(岩手県立中央病院 消化器科), 金澤 義丈(岩手県立中央病院 消化器科), 望月 泉(岩手県立中央病院 消化器外科), 臼田 昌弘(岩手県立中央病院 消化器外科), 小野 貞英(岩手県立中央病院 病理診断科), 村上 晶彦(岩手県立中央病院 内視鏡科), 天野 良彦(岩手県立中央病院 内視鏡科)
抄録 【目的】当院における胆膵領域のIgG4関連疾患の臨床像,治療,経過を明らかにすること.【対象・方法】過去5年間に当院で経験し,自己免疫性膵炎(AIP)およびIgG4関連硬化性胆管炎(IgG4-SC)の診断基準に従い診断された11例を対象とした.AIP6例(確診5例,疑診1例),IgG4-SC5例(確診3例,準確診1例,疑診1例)である.診断時の年齢中央値は71歳(50-79歳),性別は男性7例,女性4例,観察期間中央値は24月(10-50月)である.初発症状,IgG4値,画像所見,膵外病変,治療法,組織所見,経過について検討した.【結果】AIPの初発症状は黄疸2例,背部痛2例,肝機能障害2例であり,IgG4-SCでは黄疸3例,食欲不振2例であった.血清IgG4は中央値386mg/dL(62.8-2540)で,135以下が2例,未測定2例であった.AIPではCTで全例膵腫大があり胆管拡張3例,複数のリンパ節腫大3例,被膜様構造が1例にみられた.MRCPやERCPで下部胆管狭窄は4例にみられた.PETは2例に施行され膵全体にSUV4前後の異常集積がみられた.IgG4-SCではCTで全例肝内胆管拡張があり,肺門リンパ節腫大と腎皮質の楔状影が1例にみられた.また,ERCPで主膵管狭細像は2例にみられた.AIPの4例(66.7%)で硬化性胆管炎(膵内)の合併が,IgG4-SCの2例(40%)でAIPの合併がみられた.手術はAIP1例,IgG4-SC3例に施行された.理由は複数回の胆管生検,細胞診を施行したが癌の否定が困難なためであった.切除標本の免疫染色では全例でIgG4陽性形質細胞の多数の浸潤が確認された.ステロイドはAIP4例,IgG4-SC1例で使用され2.5-5mg/日の投与が継続されている.ステロイド中止による再燃が1例にみられ再投与された.AIP,IgG4-SC各1例はステロイド投与なく経過観察中である.非手術例7例では改善・軽快5例,不変2例であり,IgG4-SCの1例では経過中に膵萎縮,石灰化がみられた.【結語】当院の胆膵領域IgG4関連疾患の臨床像はこれまでの報告例とほぼ同様の特徴がみられた.胆管病変を有するAIPやIgG4-SCでは胆管癌との鑑別が特に重要である.ステロイド治療により短期的には良好な効果が得られるが,長期的な効果については今後の検討が必要と考えられた.
索引用語 自己免疫性膵炎, IgG4関連硬化性胆管炎