セッション情報 |
一般演題
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タイトル |
O-56:向精神薬投与中に麻疹様症状で発症した薬剤性過敏症症候群の一例
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演者 |
羽賀 敏博(弘前大学大学院 医学研究科 消化器血液内科) |
共同演者 |
遠藤 哲(弘前大学大学院 医学研究科 消化器血液内科), 津谷 亮祐(三沢市立 三沢病院), 五十嵐 剛(弘前大学大学院 医学研究科 消化器血液内科), 澤田 直也(弘前大学大学院 医学研究科 消化器血液内科), 三上 健一郎(弘前大学大学院 医学研究科 消化器血液内科), 福田 眞作(弘前大学大学院 医学研究科 消化器血液内科) |
抄録 |
【はじめに】薬剤性過敏症症候群 (drug-induced hypersensitivity syndrome: DIHS) は、高熱と臓器障害を伴う薬疹で、薬剤中止後も遷延化する。DIHS は他の薬疹と異なり、原因薬物が限定される。発症までの内服期間は一般的に 2~6 週間であり、発生頻度は原因薬剤を使用している 1000 人~ 1 万人に 1 人と推定されている。【症例】22 歳女性【主訴】発熱、皮疹【既往歴】覚醒剤乱用歴があり、4 か月前より精神科通院中【現病歴】2 週間前に 39 ℃台の発熱と皮疹にて近医内科受診。頬粘膜に Koplik 斑を指摘され麻疹疑いで前医へ紹介となり経過観察されていたが改善せず肝機能障害も出現し前医入院。麻疹については血清 IgM 抗体価陰性、血清および咽頭拭い液からの麻疹ウイルス (RT-PCR法) 全て陰性であった。肝障害精査目的に各種肝炎ウイルス抗体を測定したが陰性であり、髄液検査および頭部 MRI も施行したが明らかな原因は特定できなかった。前医入院後、黄疸も出現し当科に転院。当科入院時、全身紅斑および黄疸、鼠径リンパ節の腫脹を認め38.1 ℃の発熱が認められた。血液検査ではWBC 13,250 /μl、PT 59 %、T-Bil 7.9 mg/dl、AST 171 U/L、ALT 152 U/Lと肝機能障害を伴っていた。入院後より薬剤性過敏症症候群 (DIHS) を疑い内服薬中止。免疫血清学検査、皮膚生検等で DIHS に矛盾しないと判断しプレドニン 40 mg/d で投与開始した。しかし 40 ℃前後の発熱が持続し血液検査でも改善が乏しいことに加え、被疑薬中止により精神状態が悪化したことより、精神科にコンサルトをしながらステロイドパルス療法を施行した。ステロイドパルス療法施行後、諸症状は改善し第 40 病日に前医へ転院となった。【結語】我々は DIHS と診断しステロイドパルス治療が奏功した症例を経験したので若干の文献的考察を加えて報告する。 |
索引用語 |
薬疹, 肝機能障害 |