セッション情報 一般演題

タイトル O-84:

黄疸にて発症したIgG4関連疾患の2例

演者 明本 由衣(弘前市立病院 内科)
共同演者 坂本 十一(弘前市立病院 内科), 吉田 健太(弘前市立病院 内科DELIMITER弘前大学医学部附属病院 消化器血液膠原病内科), 飯野 勢(弘前市立病院 内科DELIMITER弘前大学医学部附属病院 消化器血液膠原病内科), 相原 智之(弘前市立病院 内科), 田中 光(弘前市立病院 内科), 山形 亮(弘前市立病院 内科), 中畑 久(弘前市立病院 内科), 東野 博(弘前市立病院 内科), 柴田 滋(弘前市立病院 外科), 田中 正則(弘前市立病院 臨床検査科), 福田 眞作(弘前大学医学部附属病院 消化器血液膠原病内科)
抄録 【症例1】70歳代、男性[主訴]皮膚黄染[既往歴]特記なし[現病歴]5月初旬より尿濃染あり、その後皮膚黄染・白色便が出現。同月22日に近医を受診し、腹部USにて肝内外胆管の拡張を認め、当科紹介となった。WBC 7470/μl, AST 170IU/l, ALT 295IU/l, T-Bil 15.7mg/dl, D-Bil 12.4 mg/dl, CRP 2.2 mg/dl, S-Amy 27 IU/l。腹部CTでは下部胆管の狭窄と壁肥厚を認め、下部胆管癌疑いとして5月28日当科入院。[入院後経過]ERCで下部胆管に限局した約3cmの漏斗状狭窄を認め、ENBD留置。胆汁細胞診を2回行うがいずれも“indeterminate”。PET-CTでは膵頭部にSUV max 4.0の集積を認めた。以上より下部胆管癌と診断し、6月18日、当院外科にて亜全胃温存膵頭十二指腸切除術を施行。[術後病理組織]胆管壁は全体的に肥厚し、胆管および膵頭部には花筵状線維化と55~145個/HPFのIgG4陽性形質細胞がみられた。胆管癌は否定され、術後の血清IgG4が210mg/dlと高値からIgG4関連硬化性胆管炎・自己免疫性膵炎と診断。【症例2】70歳代、男性[主訴]皮膚黄染 [既往歴]高血圧、糖尿病 [現病歴]7月初旬より尿濃染、皮膚黄染と全身掻痒感が出現。7月18日当科受診し、精査のため入院。WBC 4040/μl, AST 134 IU/l, ALT 220 IU/l, T-Bil 5.7 mg/dl, D-Bil 4.3 mg/dl, CRP 0.6 mg/dl, S-Amy 29 IU/l。[入院後経過]CTではびまん性の膵腫大、肝内外胆管の拡張を認め、ERCPでは下部胆管の狭窄と主膵管の狭細像を認めた。血清IgG4が1240mg/dlと高値から自己免疫性膵炎と診断し、PSL30mg/日による治療を開始。約2週間でCT上膵腫大が消失し、IgG4は459 mg/dlと低下、黄疸・肝機能障害も軽快し8月28日退院。外来でPSLを漸減し経過良好。【考察】IgG4関連疾患は、血中IgG4高値、膵、胆道、唾液腺・涙腺、腎、後腹膜腔などの臓器の線維化とIgG4陽性形質細胞浸潤を特徴とする全身性疾患である。胆管・膵の限局性の病変では癌との鑑別が困難な例もあり、1例目は診断に至らず手術となったが2例目ではその経験を活かし手術を回避した。以上より限局性の胆管狭窄を見た際にはIgG4関連疾患を念頭に置くべきと考え報告する。
索引用語 IgG4関連疾患, 自己免疫性膵炎